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背が高い人の方が足が速いって本当?身長とスプリント能力の意外な関係

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

学校の運動会やスポーツの試合で、「あの子は背が高いから足が速そうだな」と思ったことはありませんか?

実際、陸上競技のトップ選手を見ると、高身長でスラリとした体型の選手が多い印象を受けますよね。人類最速の男として名を馳せたウサイン・ボルト選手も、身長195cmという圧倒的な体格の持ち主です。

では、単純に「背が高い=足が速い」という図式は成り立つのでしょうか?もしそうなら、背が低い人は絶対に勝てないということになってしまいます。

今回は、誰もが一度は疑問に思う「身長と足の速さの関係」について、スポーツ科学の視点からわかりやすく紐解いていきたいと思います。陸上をやっている方はもちろん、スポーツを楽しむすべての方必見の内容です!


1. 背が高い人の最大の武器「ストライド」

まず、足の速さ(走るスピード)は、基本的に以下のシンプルな掛け算で成り立っています。

走るスピード = ストライド(歩幅) × ピッチ(足の回転数)

この関係を見ると、背が高い人の最大のメリットがすぐにわかります。それは**「ストライド(歩幅)」を自然と広く取れる**ということです。脚が長ければ長いほど、一歩で進める距離は長くなります。

たとえば、100mを走るのに、ストライドが平均2mの人は50歩でゴールできますが、ストライドが2.5mあれば40歩でゴールできる計算になります。ウサイン・ボルト選手が100mの世界記録を出した時の歩数は、なんとわずか41歩でした。他のトップレベルの選手が平均44〜45歩で走るのに対し、この歩数の少なさは彼の規格外のストライドを物語っています。

このように、「一歩で進む距離が長い」という点において、高身長は間違いなくスプリントにおける大きなアドバンテージとなります。


2. 背が高いことのデメリットとは?

しかし、話はそう簡単ではありません。背が高く脚が長いことには、走る上で明確なデメリットも存在します。先ほどの「スピード = ストライド × ピッチ」を思い出してください。

手足が長いということは、それを動かすのに大きなエネルギーと時間を要するということです。つまり、ピッチ(足の回転数)を素早く上げるのが非常に難しいのです。

長い振り子と短い振り子を想像してみてください。短い振り子の方が速く往復できますよね。これと同じ原理で、長身の選手は脚を素早く回転させることが物理的に困難になります。

また、スタート時の「加速」に関しても、背が高い人は不利な傾向があります。重心が高く、長い手足を折りたたんだ状態からトップスピードに乗せるまでに時間がかかるからです。ボルト選手も、スタート直後の数十メートルは他の選手にリードを許す場面がよく見られました(彼はそこからの中間疾走の伸びが異次元だったわけですが)。

さらに、身長が高いと空気抵抗を受ける面積も大きくなるため、向かい風の時には不利に働くこともあります。


3. 小柄〜平均的な身長の人の強み

では、背がそれほど高くない人には勝ち目がないのでしょうか?まったくそんなことはありません。小柄、あるいは平均的な身長の選手は、圧倒的なピッチ(足の回転数)の速さを武器にすることができます。

脚が短い分、素早く足を動かすことができるため、1秒間に何度も地面を力強く蹴ることができます。また、スタートダッシュが得意なのも大きな特徴です。低い重心を保ったまま、ロケットのように鋭く飛び出し、一気にトップスピードまで加速することができます。

陸上100mで日本人初の9秒台を叩き出した桐生祥秀選手は身長175cmほどで、世界のファイナリストたちと比べると決して大きくはありません。しかし、その卓越したピッチと全身のバネ、無駄のないフォームによって、世界と互角に渡り合っています。

海外に目を向けても、世界トップクラスのスプリンターであるクリスチャン・コールマン選手は身長175cmです。彼のスタートダッシュは世界一とも言われ、前半の圧倒的な加速力は長身選手をまったく寄せ付けません。

つまり、「ストライド」で勝てなくても、「ピッチ」と「加速力」を極めれば、十分に最速を狙えるということなのです。


4. 結局、足の速さを決める本当の要因は何?

ここまで見てきたように、「背が高い=絶対に足が速い」というわけではありません。足の速さを決めるのは、身長そのものではなく、**「自分の体型に合った走り方(ストライドとピッチの最適なバランス)を見つけられるかどうか」**です。

• 背が高い人: 長いストライドを活かしつつ、いかにピッチを落とさない筋力とボディコントロールを身につけるかが鍵。

• 背が低い人: ピッチの速さを最大限に引き出しつつ、関節の可動域を広げて少しでもストライドを伸ばす工夫が必要。

さらに言えば、足の速さには体格以外にも以下の要素が複雑に絡み合っています。

• 接地技術: 地面をベタッと蹴るのではなく、バネのように弾んで反発をもらう技術。

• 筋肉の質: 瞬発力を生み出す「速筋」の割合。

• 体幹の強さと連動性: 腕振りの力を無駄なく推進力に変える能力。

まとめ:自分の強みを活かそう!

結論として、**「背が高い人の方が、ストライドが広くなるため有利な面はあるが、それだけで足が速いかは決まらない」**というのが正解です。

背の高さはあくまで持って生まれた個性の一つ。大切なのは、自分の身体的特徴を深く理解し、その長所を最大限に伸ばすトレーニングを行うことです。

もしあなたが「自分は背が低いから足が遅いんだ…」と諦めているとしたら、それは非常にもったいないこと!ピッチを磨き、スタートダッシュを極めることで、長身のライバルをごぼう抜きにする快感を味わえるかもしれません。

スポーツの面白さは、決して体格だけで結果が決まらないところにあります。次に陸上競技やスポーツの試合を見るときは、選手たちの身長だけでなく、「ストライド型かピッチ型か」といった走りのスタイルにも注目してみてください。きっと新しい発見があるはずです!


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