洛南・後藤大樹選手はなぜ速い?他の選手とは違う「力まない走り」に注目

陸上競技を見ていると、速い選手にはそれぞれ違った特徴があります。
スタートが鋭い選手。
脚の回転が速い選手。
ストライドが大きい選手。
後半になってもスピードが落ちない選手。
その中でも、洛南高校の後藤大樹選手は少し独特です。
後藤選手の走りを見ていると、
「ものすごく頑張って走っているように見えないのに速い」
という印象を受けます。
今回は、後藤選手の走り方を他の選手と比較しながら、足が速くなるためのヒントを考えてみたいと思います。
後藤選手は「力強さ」より「しなやかさ」が目立つ
短距離選手というと、
地面を強く蹴る
腕を激しく振る
脚を素早く回す
といった、力強い動きをイメージする人も多いと思います。
もちろん後藤選手も大きな力を地面に伝えています。
しかし、見た目としては、
力で無理やり前に進んでいる感じが少ない。
ここが大きな特徴です。
身体全体がしなやかに動き、その流れの中で自然に脚が前へ出ているように見えます。
速く走ろうとして身体を固めるのではなく、
身体を自由に動かした結果としてスピードが出ている。
そんな印象があります。
100m型の選手とは加速の仕方が少し違う
100mを専門とする選手は、スタート直後から一気に加速する能力が非常に高いです。
「ドン!」
とスタートした瞬間から、
短い時間でトップスピード近くまで持っていきます。
一方、後藤選手は100mでも非常に速い選手ですが、走りを見ていると、
急激にスピードを作るというより、走りながら自然にスピードが大きくなっていく
ように感じます。
最初から身体を激しく動かすというよりも、
一歩
一歩
一歩
と進むにつれて、大きな走りへつながっていきます。
これは200mや400m、400mハードルで非常に大きな武器になります。
スピードが上がってもフォームが小さくならない
後藤選手の走りで特に注目したいのが、
速くなっても身体の動きが小さくなりにくいこと
です。
多くの人は速く走ろうとすると、身体に力が入ります。
すると、
肩が上がる
腕が硬くなる
脚だけで走ろうとする
呼吸が苦しくなる
ストライドが小さくなる
ということが起こります。
ところが後藤選手は、スピードが上がっても身体全体の動きが比較的大きいままです。
特に200mや400mハードルでは、この特徴が生きています。
スピードを出すだけではなく、
そのスピードの中で身体を自由に動かし続けられる。
これが他の選手との大きな違いの一つではないでしょうか。
「脚を速く動かす」だけでは速くならない
子どもたちに、
「もっと脚を速く動かして!」
と言うことがあります。
しかし、脚だけを速く動かそうとすると、逆に走りが小さくなる場合があります。
後藤選手を見ていると、
脚だけではなく、
肩
腕
骨盤
股関節
脚
が一つの流れとして動いています。
つまり、
脚を速くするのではなく、身体全体の動きが速い。
ここが重要です。
足が速い子どもを見ても、脚だけを必死に回している子は意外と少ないです。
身体全体がリズムよく動き、その中で脚が自然についてきています。
強く蹴るより「邪魔をしない」
速く走るために、
「地面を強く蹴ろう」
と考える人は多いと思います。
もちろん地面に力を伝えることは必要です。
しかし、強く蹴ようと意識しすぎると、脚が後ろに残ったり、身体が上下に跳ねたりすることがあります。
後藤選手を見ると、
地面を蹴ること以上に、
次の一歩へ素早く移動している
ように感じます。
地面をいつまでも押し続けない。
必要な瞬間だけ力を伝えて、すぐ次の動きへ進む。
この切り替えの速さが、スムーズな走りにつながっています。
速く走るためには、
「何をするか」
だけではなく、
「余計なことをしない」
ことも非常に大切なのかもしれません。
他の選手より「余裕」があるように見える理由
後藤選手の走りには、不思議な余裕があります。
全力疾走なのに、どこか落ち着いて見える。
これはおそらく、身体の一部だけに力が集中していないからです。
例えば、
腕だけを強く振る。
脚だけを強く蹴る。
膝だけを高く上げる。
こうした動きをすると、その部分だけが目立ちます。
後藤選手の場合は身体全体がつながっているため、一部分だけが極端に目立ちません。
だからこそ、
滑らかで自然な走り
に見えるのだと思います。
400mハードルにも合っている走り
後藤選手は400mハードルで非常に高い能力を発揮しています。
400mハードルでは、
速く走る能力だけでは足りません。
ハードルに合わせるリズム。
歩数の調整。
疲れてきた時のフォーム維持。
ハードルを越えた後の再加速。
こうした能力が必要になります。
後藤選手のような、
大きく、しなやかで、リズムを崩しにくい走り
は、この種目と非常に相性がいいと考えられます。
特に後半になっても走りがバラバラになりにくいことは、大きな強みです。
子どもが後藤選手を真似するならフォームではなく「感覚」
ここで注意したいのは、
後藤選手と同じフォームにすれば速くなるわけではない
ということです。
人によって、
身長
脚の長さ
筋力
骨格
得意なリズム
は違います。
そのため、見た目だけを真似しても同じ走りにはなりません。
子どもたちが参考にするとしたら、
「大きく動こう」
よりも、
「力まずに走ってみよう」
という感覚です。
また、
「強く蹴ろう」
ではなく、
「地面に触れたらすぐ次へ進もう」
でもいいでしょう。
そして、
「正しいフォームにしよう」
ではなく、
「一番走りやすい動きを探してみよう」
と考えることが大切です。
足が速い選手ほど動きはシンプル
速い選手を見ると、ものすごく特殊なことをしているように感じるかもしれません。
しかし実際には逆で、
速い選手ほど動きがシンプルに見える
ことがあります。
後藤選手もその一人です。
余計な上下動が少ない。
余計な力みが少ない。
一つ一つの動きを無理に作っている感じが少ない。
だから走りがスムーズにつながります。
足を速くしたいと考えた時、
新しい動きをどんどん追加することだけが正解ではありません。
もしかすると、
余計な力を抜く。
余計な動きを減らす。
自分のリズムを見つける。
こちらの方が重要な場合もあります。
速さにはいろいろな形がある
後藤選手の走りを見ていると、
改めて、
速い走り方に一つの正解はない
と感じます。
ピッチで走る選手もいる。
ストライドで走る選手もいる。
スタートが得意な選手もいる。
後半に強い選手もいる。
後藤選手のように、大きくしなやかな動きでスピードを作る選手もいます。
大切なのは、
誰かのフォームをコピーすることではありません。
自分の身体が一番動きやすい走りを見つけること。
そこから、その子だけの速さが生まれてきます。
MORIトレでも、
「このフォームが絶対に正しい」
と決めつけるのではなく、
子ども自身がいろいろな動きを試しながら、
「これなら速く走れる!」
という感覚を見つけていくことを大切にしています。
洛南・後藤大樹選手の走りは、
力いっぱい走ることと、速く走ることは同じではない。
そんなことを教えてくれる、とても興味深い走りではないでしょうか。




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