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スプリントで肉離れが起きる原因とは?100m・50m走での予防法と対策

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 2月12日
  • 読了時間: 4分

1. 肉離れとは?


肉離れは筋肉の部分的または完全な断裂を指し、特に短距離走(スプリント)ではハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)や大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)に多く発生します。スプリントは爆発的な加速や減速を伴うため、筋肉に強い負荷がかかり、適切な準備ができていないと筋繊維が損傷しやすくなります。


2. 肉離れが起きる主なメカニズム


(1) 筋肉の急激な伸張による損傷


スプリント動作では、特にハムストリングスが急激に引き伸ばされることが多く、これが肉離れの大きな原因となります。

• スプリントのストライド中の動き

• 足が地面を蹴り出すとき、ハムストリングスは収縮(短縮)します。

• その後、足が前方に振り出される瞬間、ハムストリングスは急激に伸張されます。

• 特に接地直前では、筋肉が伸びながらも力を発揮(エキセントリック収縮)するため、筋繊維に強い負担がかかり損傷しやすくなります。


(2) エキセントリック収縮の負荷


スプリント中にハムストリングスは「縮みながら働く(コンセントリック収縮)」のではなく、「伸びながら耐える(エキセントリック収縮)」動きをします。エキセントリック収縮は筋肉に強い負荷を与え、限界を超えると筋線維が裂け、肉離れが発生します。


(3) 筋力と柔軟性のアンバランス


• ハムストリングスが大腿四頭筋に比べて弱い場合、走行中のブレーキ動作で過度な負担がかかります。

• 柔軟性が低いと、筋肉が急激に伸びたときに適応できずに損傷しやすくなります。


(4) 疲労の蓄積によるリスク増大


• 疲労した筋肉は収縮力や柔軟性が低下し、適切な動作を維持できなくなります。

• 疲労による協調性の低下で、スプリント中の動作が乱れ、異常な負荷が特定の部位に集中することもあります。


(5) ウォーミングアップ不足やコンディションの影響


• 筋温が低いと、筋肉の伸張性が下がり、衝撃に弱くなります。

• 急に高強度の動作をすると、筋肉が適応できずに損傷しやすくなります。


3. スプリント種目で肉離れが起こりやすい部位


(1) ハムストリングス(太ももの裏)


• スプリンターに最も多い肉離れの部位。

• 特に「大腿二頭筋長頭」が伸張負荷に耐えきれず損傷しやすい。


(2) 大腿四頭筋(太ももの前)


• 急激な蹴り出し動作で過度に収縮し、損傷することがある。

• 下り坂ダッシュや高負荷の加速動作でリスクが高まる。


(3) 腓腹筋(ふくらはぎ)


• 地面を蹴る際に強く収縮し、急激な負荷がかかることで肉離れを起こすことがある。


4. 肉離れを防ぐための対策


(1) 適切なウォーミングアップ


• ジョギングや動的ストレッチで筋温を上げる。

• ランジやハイニー(腿上げ)で動的な可動域を広げる。


(2) エキセントリックトレーニングの導入


• ノルディックハムストリングカール:ハムストリングスのエキセントリック強度を向上させる。

• ルーマニアンデッドリフト:ハムストリングスの柔軟性と強度を同時に高める。


(3) 筋力バランスの向上


• ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比率を適切に保つ。

• 体幹トレーニングで走行中の安定性を向上させる。


(4) 適切なフォームの習得


• 過度なストライドの拡張を避け、ハムストリングスへの負担を減らす。

• 接地時の足の位置を適正化し、ブレーキ動作を最小限にする。


(5) 疲労管理とリカバリー


• 練習後のストレッチやアイシングで回復を促す。

• 睡眠や栄養を適切に管理し、疲労の蓄積を防ぐ。


5. まとめ


スプリント種目での肉離れは、主に ハムストリングスの急激な伸張とエキセントリック収縮による負荷 によって発生します。特に ウォーミングアップ不足、筋力バランスの崩れ、疲労の蓄積 などがリスクを高めます。


そのため、 適切なウォーミングアップ、エキセントリックトレーニングの導入、筋力バランスの改善、正しいフォームの習得 などが予防には欠かせません。


スプリントのパフォーマンス向上と怪我の予防を両立させるために、日々のトレーニングで意識的に取り組むことが重要です。

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