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「筋肉痛になった=良いトレーニング」は間違い?実はただの疲労かもしれない

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 7月7日
  • 読了時間: 4分

トレーニングをした翌日、筋肉痛になると「よし、効いてる!」と思う方は少なくないでしょう。

筋肉痛=トレーニングの成果、というイメージは、長年にわたって私たちの中に染みついています。


でも、ちょっと待ってください。

本当に、筋肉痛になることが「良いトレーニングの証」なのでしょうか?


実は、筋肉痛は体が疲れているサインであり、適切な刺激を超えたオーバーワークの可能性もあるのです。

むしろ、「筋肉痛がある=良いトレーニング」という考えは、体を壊してしまう危険な落とし穴になることもあります。


この記事では、筋肉痛とトレーニングの関係、そして「本当に良いトレーニング」とは何なのかを、詳しく解説していきます。


■ 筋肉痛とは何か?その正体を知る


まず、筋肉痛とはどのような現象なのでしょうか?


筋肉痛には大きく分けて2種類あります。

• 即発性筋肉痛:運動中や運動直後に感じる痛み

• 遅発性筋肉痛(DOMS):運動の数時間〜翌日以降に出てくる痛み


私たちがよく経験する「翌日にくる筋肉痛」は、遅発性筋肉痛と呼ばれます。

これは、筋肉を強く引き伸ばしたり、重い負荷をかけたときに、筋繊維が微細な損傷を受けて起こる現象です。


つまり筋肉痛は、筋肉がダメージを受けた結果に過ぎません。

「効いている」というより、「傷ついて炎症を起こしている」と言った方が、より正確です。


■ 筋肉痛=成長ではない


多くの人が誤解しているのが、

「筋肉痛になればなるほど筋肉が大きくなる」

「筋肉痛がないと効果がない」

といった思い込みです。


しかし、筋肥大や筋力向上において、筋肉痛の有無は関係ないという研究結果が複数出ています。


筋肉は、適切な刺激を与え、それを回復させる過程で成長します。

むやみに筋繊維を損傷させても、十分に回復しなければ意味がありません。

筋肉痛が強い=追い込みすぎた=回復が遅れる、という悪循環になってしまうのです。


実際、トップアスリートたちは、日々の練習で毎回筋肉痛になっているわけではありません。

それでも記録を伸ばし、体を進化させています。


■ それ、良いトレーニングじゃなくて「疲労」かもしれません


筋肉痛が強く出ているとき、次のような状態に心当たりはありませんか?

• 翌日に体が重くて動けない

• 練習や仕事に支障が出る

• 同じ部位を何日も痛めている

• ケガをしやすくなっている


これらは、体の声を無視した「疲労の蓄積」にすぎません。


「効いてるからOK」ではなく、「休まないと危険」なレベルに達しているサインかもしれないのです。

特に成長期の子どもや、運動習慣のない大人にとっては、筋肉痛が強すぎると体へのダメージも大きく、ケガのリスクが高まります。


■ 「筋肉痛がなくても効果がある」これが正しい考え方


実際に、筋肉痛がほとんど出ないようなトレーニングでも、筋力や瞬発力、柔軟性は向上していきます。


なぜなら、体は**「適応」することで強くなる**からです。

毎回限界まで追い込むのではなく、少しずつ負荷を調整し、体に「これくらいなら慣れられる」というレベルの刺激を与えていく方が、成長のスピードは安定して早いのです。


また、筋肉痛がない状態のほうが、次のトレーニングにも集中でき、動作の質も高く保てます。

これこそが、**「良いトレーニングができる状態」**といえるでしょう。


■ 本当に良いトレーニングとは?3つの基準


それでは、「良いトレーニング」とはどのようなものなのか?

ポイントを3つに絞って紹介します。


① 継続できる負荷


一度きりのハードなトレーニングより、週に3〜4回、軽めでも継続できる負荷のほうが圧倒的に効果的です。


② フォームと意識


正しいフォームを保ちながら、鍛えたい部位をしっかり意識できるかどうかが大切です。

無理に高重量を扱うより、「今、どこに効いているか?」を感じながら行いましょう。


③ 回復をセットで考える


睡眠・栄養・ストレッチ・休養を含めてトレーニングです。

回復が間に合わないと、筋肉も力もついてきません。


■ 筋肉痛は悪ではない。でも、追い求めるものではない


ここまで読んで、「筋肉痛=悪い」と感じたかもしれませんが、決してそうではありません。

筋肉痛そのものは、運動を始めたばかりの頃にはよくある反応ですし、軽い筋肉痛なら問題ありません。


重要なのは、「筋肉痛を成果だと勘違いしない」ことです。


筋肉痛はあくまで「体がダメージを受けた証拠」に過ぎず、成長の指標ではありません。

それよりも、「疲れすぎず、動きやすい体を保てているかどうか」を大切にしてほしいのです。


■ まとめ:筋肉痛に惑わされず、賢く鍛える


筋肉痛がある=良いトレーニング、という思い込みは、疲労の蓄積やケガの原因になります。

筋肉痛を“バロメーター”にするのではなく、自分の体の反応や、トレーニングの質・継続性を指標にしましょう。


「昨日よりも少し楽に動けた」

「1週間しっかり続けられた」

「翌日も元気にトレーニングができた」


そんな実感こそが、本当に良いトレーニングができている証拠です。


筋肉痛に一喜一憂せず、体と対話しながら、無理のない、そして効果的な運動習慣を身につけていきましょう!


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