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トカゲはなぜクネクネ走るのに速いのか? ~スピード・構造・人間への応用まで徹底分析~

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 3月26日
  • 読了時間: 4分

トカゲは、独特の「クネクネ」とした動きで走ることで知られています。まるで蛇のように体を左右に振りながらも、驚くほどのスピードで移動することができます。中には、時速30km以上で走る種類も存在し、人間の短距離ランナーに匹敵する能力を持つものもいます。


では、なぜトカゲはあのようなクネクネした動きで速く走れるのでしょうか?また、その動きを人間の走りに応用できる可能性はあるのでしょうか?


今回は、トカゲの走行メカニズムを詳しく分析しながら、人間のスプリントや運動能力向上への応用についても考えてみます。


1. トカゲの走る速さはどのくらい?


まず、トカゲの種類によって速度は異なりますが、特に速いトカゲとして知られているのは以下のような種です。


1-1. 速く走るトカゲの例


トカゲの種類 最高速度 特徴

アメリカドクトカゲ 32km/h 細長い体と強力な後肢で素早く走る

バシリスクトカゲ 24km/h 水上を走る能力もある

オオトカゲ 20km/h 長距離を走るスタミナ型

イグアナ 16km/h 走るよりも登るのが得意


一部のトカゲは時速30km以上のスピードで走ることができ、これは短距離走の選手に匹敵する速度です。例えば、ウサイン・ボルトの100m走の平均速度は時速37.6km(最高時速は約44km)ですが、小型のトカゲはボルトに迫るスピードを出せることになります。


では、なぜこのような速さを実現できるのでしょうか?


2. トカゲの「クネクネ走行」のメカニズム


2-1. 体幹を使った「蛇行運動」がスピードのカギ


トカゲがクネクネと走るのは、蛇のように体幹を左右に振ることで推進力を生み出すためです。この動きは「側方波運動(lateral undulation)」と呼ばれます。

• 蛇行運動のメリット

1. 四肢の動きだけでなく、体幹の力も利用できる

2. 四肢の負担を分散し、持久力が向上する

3. 不安定な地形でもスムーズに移動できる


通常の哺乳類の走り方とは異なり、トカゲは体を左右に振ることで足の蹴り出しを補助し、結果としてスピードを向上させています。


2-2. 直立走行のメリット


さらに、一部のトカゲ(バシリスクトカゲなど)は、走るときに後ろ足だけで走る「直立二足走行」をすることができます。この動きは、前足の抵抗をなくし、後肢の力を最大限に活かすための進化と考えられています。

• バシリスクトカゲの走り方

1. スタート時は四足で加速

2. 一定の速度に達すると前足を上げる

3. 二足でバランスを取りながらダッシュ


この動きは、人間のスプリントに似た動作と考えることもできます。


3. 他の動物との比較


3-1. チーター vs トカゲ


特徴 チーター トカゲ

最高速度 95km/h 30km/h前後

走行スタイル しなやかな背骨を活かした直線ダッシュ クネクネと体幹を使った走り

加速力 3秒で時速100km 短距離では瞬発力がある

スタミナ 低い 高め(特にオオトカゲ)


チーターは背骨の柔軟性を活かして走りますが、トカゲは体幹の振りを利用する点が異なります。


4. 人間の走りへの応用


では、この「クネクネ走行」の仕組みを、人間の走りに応用することはできるのでしょうか?


4-1. 体幹を使ったスプリントの可能性


トカゲのように体幹をしなやかに使うことは、人間のスプリントにも応用できる可能性があります。

• 従来のスプリント技術

• 体幹をできるだけ安定させ、足の回転を意識

• 直線的な動きで、重心を前方に持っていく

• トカゲの動きを応用する場合

• 体幹を適度にひねることで推進力を生み出す

• 足の回転に頼らず、全身の動きを連動させる


この方法は、特にスタートダッシュ時の爆発力を高める可能性があります。実際に、トップスプリンターの走りを分析すると、わずかに体幹をひねる動きが見られます。これは、トカゲの走行と共通する部分です。


4-2. 「クネクネ動作」が有効なスポーツ


この体幹を活かした走り方は、短距離走以外のスポーツにも応用できそうです。

• アメフト・ラグビー → 急な方向転換をしながら走る必要がある

• サッカー → ドリブル時に素早く加速できる

• バスケットボール → ディフェンス時の動きに活かせる


特に、方向転換の多いスポーツでは「トカゲのクネクネ走行」を意識すると、より機敏な動きができるかもしれません。


まとめ


トカゲのクネクネした走りは、

1. 体幹を活かした蛇行運動がスピードのカギ

2. 後肢の強力な蹴り出しと直立走行の活用

3. 不安定な地形でも素早く動ける利点

という特徴を持っています。


さらに、この「クネクネ走行」は、人間のスプリントやスポーツの動きにも応用できる可能性があり、特にスタートダッシュや方向転換のスピード向上に役立つかもしれません。


トカゲの動きを観察しながら、より効率的な走りを研究するのも面白いですね!



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