ウサイン・ボルトもしていた!足が速くなる“ベースポジション”の練習とは?
- 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都

- 8月14日
- 読了時間: 4分
ウサイン・ボルトもしていた!足が速くなる“ベースポジション”の練習とは?
短距離走で世界最速の称号を手にしたウサイン・ボルト。
彼の驚異的な走りを支えていたのは、スタートダッシュやトップスピードのフォームだけではありません。実は、日々の練習で何度も繰り返していた「ベースポジション」という基礎姿勢の確認が、彼の速さの土台になっていました。
今回は、この「ベースポジション」練習について詳しく解説し、あなたやお子さんの走りを変えるヒントをお届けします。
1. ベースポジションとは何か?
ベースポジションとは、走る・跳ぶ・切り返すなど、あらゆる動作の基礎となる姿勢のことです。
短距離走においては、力を地面に効率よく伝え、すぐに加速できる構えを指します。
簡単にいうと、「走るための中立姿勢」。
この姿勢が崩れていると、どれだけ筋力や瞬発力があっても、地面への力の伝達効率が落ち、スピードが出にくくなります。
2. ウサイン・ボルトが意識していたベースポジションの特徴
ボルトのベースポジションにはいくつかの共通点があります。
1. 足幅は肩幅よりやや広め
重心を安定させ、前後左右どちらにも動きやすい構え。
2. 膝を軽く曲げる(約15〜20度)
これにより地面反力を瞬時に利用できる。
3. 骨盤を立てる
腰が反りすぎたり丸まりすぎたりしないよう、中立姿勢を保つ。
4. 胸を張るが力まない
肩甲骨を軽く寄せ、腕振りの可動域を確保。
5. つま先重心(踵は浮かない程度)
すぐに地面を蹴り出せる状態をキープ。
ボルトはこの姿勢を、ウォームアップや加速練習の前に必ず確認していました。つまり、走りの「構え」が毎回リセットされ、常に最適なフォームから走り出せるわけです。
3. なぜベースポジション練習が速さにつながるのか?
(1) 力の伝達効率が上がる
走る動作は、地面を押す力を前進の推進力に変換する「地面反力」の利用が鍵です。姿勢が崩れていると、その力が分散してしまいます。ベースポジションは、筋力を無駄なく地面に伝えるためのスタート地点です。
(2) 無駄な動きが減る
姿勢が整うと、腕や脚の振りがスムーズになり、体幹のブレも減ります。結果的にエネルギー効率が良くなり、同じ力でより速く走れます。
(3) 動作の切り替えが速くなる
短距離走では、0.1秒の反応が勝敗を分けます。ベースポジションを身につけておくと、加速への移行がスムーズになり、スタートからトップスピードへの時間が短縮されます。
4. 実際の練習方法
ステップ1:姿勢づくり(静止)
1. 足幅は肩幅よりやや広く取る。
2. 膝を軽く曲げ、骨盤を立てる。
3. 胸を軽く張り、顎を引く。
4. 体重は土踏まず〜つま先寄りに。
まずは鏡の前で、この姿勢を10〜20秒キープ。腰や背中に違和感がないか確認しましょう。
ステップ2:重心移動ドリル
1. ベースポジションを作る。
2. 重心を少し前に移動(踵が軽く浮く程度)。
3. そのまま3歩ダッシュ。
※このとき上半身が前に倒れすぎないよう注意。
ステップ3:リアクションダッシュ
1. ベースポジションを作って静止。
2. コーチや友達の合図(声・手拍子)で即座にスタート。
3. 5〜10mを全力で走る。
反応速度と姿勢の維持を同時に鍛えられます。
ステップ4:ジャンプ切り替え
1. ベースポジションから真上に軽くジャンプ。
2. 着地と同時に再びベースポジションに戻る。
3. 連続10回繰り返す。
脚のバネと姿勢保持能力を同時に強化できます。
5. 練習のポイントと注意点
• 毎回同じ位置・形で構える習慣をつける
走る前にルーティン化すると、本番でも安定。
• 力みすぎない
固めるのではなく、しなやかに保つことが重要。
• 腰の高さを一定にする
高すぎても低すぎても推進力が落ちます。
• 鏡や動画で確認
自分ではできているつもりでも、実際は崩れている場合があります。
6. 子どもから大人まで効果的
ベースポジションは、筋力に自信がない人や小学生にも効果的です。むしろ、成長期に正しい姿勢を身につけることで、その後のフォームが大きく変わります。
また、サッカーやバスケなど方向転換が多いスポーツにも応用可能です。
7. まとめ
ウサイン・ボルトのような世界最速スプリンターでさえ、走りの基本姿勢を何度も確認していました。
ベースポジションは派手なトレーニングではありませんが、走るための土台を固める「見えない武器」です。
今日から、走る前にまず“構え”を意識してみましょう。
たった数センチの膝の角度や重心位置が、タイムを大きく変えるきっかけになります。

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