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伸び代のある体づくりとは、本当に伸び代を作れる指導者はいるのか?

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 8月3日
  • 読了時間: 5分

スポーツや子どもの運動教室の世界でよく耳にするフレーズに

「伸び代のある体づくり」という言葉があります。


指導者のプロフィールやスクールの宣伝文句にも頻繁に使われ、

「伸び代を作ります」「伸び代を引き出します」などと書かれています。


しかし、冷静に考えたことはありますか?

• 伸び代って一体なんなのか?

• 本当に伸び代は作れるのか?

• それとも、耳障りのいい理想論を語っているだけではないのか?


今回は、このあいまいな言葉の本質に切り込んでみたいと思います。


「伸び代」とはそもそも何か?


まず、「伸び代」という言葉を具体的に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。


伸び代とは、まだ表に出ていない潜在的な能力のことです。

言い換えれば「伸びる余白」「開発されていない部分」。


人間の体は、年齢や経験によって表に出ている能力と、眠ったままの能力があります。

例えば、次のようなものです。

• 正しい動かし方を知らずに使えていない筋肉

• 固まったまま動かせていない関節

• 本当はできるのに、神経のつながりが未発達で反応できない動き

• 意識の仕方ひとつで改善できる姿勢の癖


これらは、現状の体の動きだけでは見えません。

ですが、正しい環境・刺激・指導があれば開花することがあるのです。


これこそが「伸び代」と呼ばれるものです。


伸び代は「作る」ものか?「見つける」ものか?


ここでよくある誤解があります。


「伸び代を作る」という表現を聞くと、まるでゼロから新しい能力を付け足すようなイメージを持ちます。


しかし、実際には伸び代は外から作り出すものではありません。


正確には、もともと体の中に存在しているものを見つけて引き出すものです。


伸び代を眠らせたままにしてしまう原因


伸び代があっても、それが眠ったままになってしまう原因はいくつかあります。

1. 正しい体の使い方を知らないまま成長してしまう

2. 発達段階で必要な刺激を受けていない

3. 特定の動きばかりを繰り返し、偏った体の使い方になっている

4. 怪我や間違った指導によって、本来の動きを封じてしまっている


例えば、小学生の走り方を観察すると、膝が前に出せない、腕が正しく振れないなどのクセが目立ちます。

これらは、筋力以前に「動き方」を知らないことが大きな原因です。


つまり、伸び代が眠ったままなのは才能がないからではなく、適切な刺激を受けていないからとも言えるのです。


本当に伸び代を引き出せる指導者はいるのか?


では、広告などでよく見る「伸び代を引き出します」というフレーズ。

これを本当に実現できる指導者はいるのでしょうか?


結論から言えば、います。

ただし、誰もができるわけではありません。


伸び代を引き出せる指導者には、次の特徴があります。


1. 「観察力」が圧倒的に高い


体の動きを細かく観察し、

• どこが硬いのか

• どの筋肉が働いていないのか

• どの順番で修正するべきか


を見抜く力があります。


単に練習メニューをこなさせるだけの指導では、この力は絶対につきません。


2. 「順序」を知っている


体には成長の順番があります。

基礎的な動きの癖を整えないまま強度の高い練習をしても、

逆に伸び代を潰してしまいます。


良い指導者は、体を正しい順序で整え、

段階的にステップアップさせることを知っています。


3. 「経験値と知識のバランス」


伸び代のタイプは人によってまったく違います。

多くの事例を見てきた経験豊富な指導者ほど、柔軟な引き出しを持っています。


また、経験だけに頼るのではなく、科学的な知識を学び続けている人です。


一方で「理想だけ語る指導者」もいる


残念ながら、現場には「伸び代」という言葉を使うだけで、

実際には何もしていないケースも多くあります。

• 具体的な改善方法を示さない

• 誰にでも同じメニューをやらせる

• 成果が出ないと「本人の努力不足」にする


このような指導では、伸び代は一向に開花しません。


伸び代を引き出すために大切なこと


最後に、指導者任せにせず、自分や子どもの体の伸び代を引き出すためのポイントをまとめます。

1. 正しい体の使い方を知ること

2. たくさんの動きを経験させること(多様な遊びや運動)

3. 焦らず段階的に積み重ねること

4. 信頼できる指導者と出会うこと


これらが揃うことで、眠った能力は少しずつ花開いていきます。


まとめ


「伸び代のある体づくり」という言葉は、一見理想論のように聞こえます。

しかし、実際には人の体に本来備わっている潜在能力を引き出すことを意味します。


本当に伸び代を引き出せる指導者は、

• 観察力

• 順序立てた指導

• 経験と科学の両立


を備えています。


逆に、ただその言葉を掲げるだけの指導者には注意が必要です。


伸び代は誰の体にも眠っています。

それを眠らせたまま終わるのか、

正しい指導で開花させるのか。


その差が、数年後の成長の大きな違いになります。


あなたの体にも、まだ伸び代はある


もし「自分はもう限界だ」と思っている人がいたら、

それはまだ引き出せていないだけかもしれません。


伸び代を開く扉は、正しい知識と観察から始まります。



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