和式トイレのしゃがむ姿勢は足が速くなるトレーニングになるのか?
- 森 雅昭(スポーツ家庭教師/かけっこ走り方教室/体操教室枚方市)
- 4月23日
- 読了時間: 4分
私たちが子どものころによく目にした和式トイレ。しかし、洋式トイレが主流になってきた現代では、和式トイレを使う機会が減ってきています。そんな中で注目されているのが、**和式トイレの「しゃがむ姿勢」**が、実は「足が速くなるためのトレーニング」にもつながるのではないか、という考え方です。
本記事では、和式トイレのしゃがむ姿勢がどのように足の速さと関係しているのか、運動学や体の使い方の観点から分析していきます。
しゃがむ姿勢はスクワットに近い
和式トイレを使うときの姿勢は、いわゆる「フルスクワット」の状態に非常に似ています。しゃがみ込んだ状態で体の重心を低く保ち、太ももとふくらはぎが密着するほど深く沈む形になります。この姿勢は、以下のような筋肉を使います。
• 大腿四頭筋(太ももの前側)
• ハムストリングス(太ももの裏側)
• 大臀筋(お尻の筋肉)
• 下腿三頭筋(ふくらはぎ)
• 体幹部(腹筋・背筋)
これらの筋肉は、実は短距離走やスタートダッシュ、瞬発力を発揮する場面で非常に重要な筋肉群です。
足が速い子はしゃがむのがうまい?
子どもたちに走り方指導をしていると、足が速い子どもたちは自然と「しゃがむ」動作が上手なことが多いです。逆に、しゃがめない・しゃがむと後ろに倒れそうになる・かかとが浮いてしまうという子は、スタートの姿勢が不安定でダッシュ時に出遅れる傾向があります。
しゃがむ能力が高いということは、股関節・膝関節・足関節の柔軟性があり、なおかつ筋力とバランスが備わっている証拠です。
和式トイレの姿勢が鍛える「足の速さ」に必要な能力
和式トイレでのしゃがみ姿勢には、足が速くなるための重要な要素が詰まっています。ここではその代表的な3つを紹介します。
1. 股関節の可動域向上
和式トイレの姿勢をとるには、股関節を大きく曲げ、広げる必要があります。この動作を日常的にしていると、股関節の柔軟性が高まり、脚の動きがスムーズになります。短距離走では、股関節のスムーズな伸展と屈曲がピッチ(回転数)に直結するため、速く走るには非常に重要です。
2. 足関節の柔軟性・バランス能力
しゃがんだときにかかとが地面から浮いてしまう人は、足首(足関節)が硬い傾向があります。足関節が柔らかいと、地面からの反発を効率よく使え、踏み切りや加速がしやすくなります。また、しゃがみ姿勢ではバランスを保つために体幹と足の筋肉を同時に使うため、走るときの安定性にもつながるのです。
3. 姿勢保持筋の強化
しゃがんだ状態をキープするには、体幹の筋力も必要です。前傾姿勢を取りながら倒れずにいるということは、腹筋や背筋、股関節周辺の筋肉が強化されている証拠。これはスタートダッシュやコーナーでの姿勢保持に直結する能力です。
トレーニングとしてどう活かすか?
和式トイレが減っている現代では、わざわざトイレでトレーニングをする必要はありませんが、和式トイレのしゃがみ姿勢を再現したエクササイズはトレーニングとして非常に効果的です。
おすすめのトレーニング
1. フルスクワット(足裏べったり型)
• 足を肩幅程度に開いてしゃがむ
• 踵(かかと)を浮かさずに深く腰を落とす
• 背中を丸めず、胸を張る意識
• 10秒キープ×3セット
2. しゃがみバランスキープ
• 和式トイレの姿勢でしゃがみ、両手を前に出す
• この姿勢で20秒間キープし、バランスを取る
• 足裏全体で地面を感じるように意識する
3. しゃがみスタート姿勢からのジャンプ
• 和式トイレ姿勢からジャンプして真上に飛ぶ
• 連続5回×3セット
• 下半身の瞬発力アップに効果的
現代人が忘れがちな「しゃがむ力」
洋式トイレが当たり前になった現代では、しゃがむという動作そのものをしない生活になってきました。しかし、しゃがむ力は、足腰の筋力や柔軟性の指標であり、走力や運動能力とも密接に関わっています。
特に、小学生や幼児にとって、しゃがむことは発育にとっても非常に重要な動作です。遊びや生活の中で自然としゃがむ動きを取り入れていくことが、将来の運動能力を高める基礎となります。
まとめ|しゃがむ動作を見直せば、足はもっと速くなる!
和式トイレのしゃがむ姿勢は、単なる「昔のトイレの使い方」ではなく、実は足を速くするための基本的な筋力や柔軟性、バランス感覚を養うトレーニングとしてとても理にかなっています。
今すぐ生活の中に取り入れられる、しゃがむ姿勢。子どもたちの足を速くするために、そして大人も老化防止や筋力維持のために、ぜひ積極的に「しゃがむ力」を意識してみてください。
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