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今の速く走る理論のほとんどは間違っている|その理由と本質を解説

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 6月28日
  • 読了時間: 4分

「足を速くしたい」「走り方を改善したい」と思ったとき、多くの人がインターネットや書籍、YouTubeなどで“理論”を探します。「姿勢を良くする」「腕を速く振る」「膝を高く上げる」「つま先で蹴る」など、いかにも理にかなっていそうなアドバイスが並びます。


しかし、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。

その理論、本当に“現場で使える”ものですか?

それを実行して、実際にあなたは速くなりましたか?


この記事では、「今の速く走る理論のほとんどは間違っている」とする理由と、走る本質に立ち返るためのヒントをお伝えします。


なぜ理論が間違って伝わってしまうのか?


理論が「間違っている」と言っても、それは内容がすべて誤っているという意味ではありません。問題は、その理論が“そのまま現場で通用しない”という点にあります。


たとえば、陸上のトップ選手のフォームを分析して「こういう走り方をすれば速くなる」と紹介する記事や動画があります。しかし、それは“すでに速い人のフォーム”であって、“まだ速くない人が再現できるフォーム”ではありません。


これはピアノ初心者にプロの指の動きを真似させるようなもの。基礎ができていない人にとって、真似はかえってフォームを崩す原因になります。


「膝を高く上げる」と言われても意味がない


走り方のアドバイスでよくあるのが「膝を高く上げよう」というもの。

これは一見もっともらしいですが、意識して膝を上げようとすると、多くの場合「体がブレーキ動作になってしまう」か「重心が上下にぶれてエネルギー効率が落ちる」結果になります。


実際には、地面をしっかり押せば膝は勝手に上がります。つまり、膝を上げることが目的ではなく、「力を地面にしっかり伝える走り」をしていれば、自然と膝の高さも改善するのです。


「腕振りが大事」も半分正解、半分間違い


「腕を速く振れ」というアドバイスもよく聞きますが、これも危険です。

腕を力任せに速く振ろうとすると、肩や首に力が入り、リズムが崩れ、下半身との連動が乱れます。


腕は確かに走りのリズムやバランスに関わりますが、腕だけを意識しても意味がありません。重要なのは「全身が連動している状態」をつくることであり、腕はその一部にすぎないのです。


本当に大事なのは「感覚」と「動きの連動」


速く走るために本当に必要なのは、「感覚的な動きの理解」と「身体の連動」です。


現代の速く走る理論は、「こうすればこうなる」という“説明”に偏りがちです。しかし、走りというのは本来、リズム・タイミング・バランスといった“感覚”で成り立っています。言葉で説明されても、それをどう体で感じ取るかが最も重要なのです。


小学生が感覚的に走りを覚えていくのも、トップアスリートがわずかなフォームの感覚のズレを調整しているのも、最終的には「自分の体をどうコントロールするか」に尽きます。


練習で「言葉」を使いすぎると走れなくなる


もう一つ、多くの現場で見られる問題があります。

それは「言葉で教えすぎている」ということです。


たとえば、「もっと前に足を出して」「もっと地面を蹴って」「もっと胸を張って」といった指示は、考えることが多すぎて体が動かなくなります。意識する点が多すぎると、子どもも大人も“動けなく”なってしまうのです。


これは「動きのエラー」ではなく「情報過多によるパフォーマンス低下」と言えます。


間違った理論に縛られると、子どもの走りが遅くなる


特に子どもの走りを見ていると、大人が言葉で教えすぎているケースが多く見られます。


・「つま先で走って」→ かかとが浮いて不安定に

・「手をしっかり振って」→ 上半身だけで走ってしまう

・「前を見て胸を張って」→ 背中が反って重心が後ろにずれる


子どもは本来、感覚で上手くなります。言葉を詰め込むより、自由に動かせる環境と「楽しく速く走れた!」という成功体験のほうが、何倍も成長につながります。


本当に速くなるためのヒントとは?


では、理論に頼らず、どうすれば速く走れるようになるのでしょうか。

以下のような視点がカギになります。

1. 走るリズムを体で覚える

 → 足音、呼吸、腕の動きのタイミングを“感じる”

2. 「地面を押す」感覚を養う

 → つま先ではなく、体全体で地面を“押す”イメージ

3. 足だけでなく「体全体が動く」ようにする

 → 体幹、腕、肩、股関節が連動して動くこと

4. 正解を決めすぎない

 → フォームは個人差がある。速さを出せる形は一つではない

5. 楽しんで走る環境づくり

 → 「速くなった!」という感覚が成長を加速させる


まとめ:理論にしばられるな、動きの本質を見よ


「速く走る理論」は、便利なようで実は“動きの本質”から遠ざけてしまう危険性を持っています。

頭で理解しても、体が動かないなら意味がないのです。


今の速く走る理論のほとんどは、フォームや技術の説明に偏っていて、肝心の「感覚」「リズム」「連動」といった“本質”が抜け落ちています。

本当に速くなりたいなら、まずはその理論を疑うところから始めてみましょう。


そして、自分の体と向き合い、「こうすると速くなる」「この感じがいい」といった自分だけの走り方を見つけていく。それこそが、理論以上に価値のある“速くなるための本当の道”なのです。



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