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膝を曲げない日本人が増えた理由|昔の人はなぜ膝をよく使っていたのか?

現代人の多くが見落としている体の使い方に「膝を曲げること」があります。運動、日常生活、さらには文化的な所作においても、膝の使い方は私たちの身体のパフォーマンスや健康に直結しています。しかし、意外にも今の私たちは「膝をうまく使えなくなっている」と言われています。


一方で、昔の日本人の動作をよく観察すると、「膝を曲げて動く」ことが当たり前だったように見受けられます。この記事では、膝を曲げることの重要性、現代人との違い、そして昔の日本人の体の使い方を掘り下げながら、今一度見直すべき身体の基本について解説していきます。


なぜ「膝を曲げること」が重要なのか?


膝を曲げることには以下のような役割があります。


1. 衝撃吸収と関節保護


人間の膝関節は、ただの可動部ではありません。歩行やジャンプ、方向転換といった動作の中で、地面からの衝撃を吸収し、股関節や腰、背骨への負担を和らげる役割を果たします。膝を曲げることによって、関節のクッション機能が生まれ、怪我を予防することができるのです。


逆に、膝が常に伸び切った状態で生活していると、衝撃が直接的に腰や背骨に伝わりやすく、慢性的な腰痛や膝痛の原因になることもあります。


2. バランスと安定性の向上


膝を適度に曲げていると、体の重心を下げることができます。重心が下がることで、姿勢が安定しやすくなり、特にスポーツや動きの多い作業の中では、転倒や怪我のリスクを減らす効果があります。


武道や舞踊などでは「腰を落とす」と言いますが、これも膝を曲げることによって下半身の安定性を確保する技術の一つです。


昔の日本人は「膝を曲げて動いていた」


では、なぜ昔の日本人は自然と膝を曲げて動いていたのでしょうか?いくつかの生活習慣や文化的背景から見ていきましょう。


1. 生活スタイルが「床文化」


昔の日本では、畳に座り、床で食事や作業をする生活が基本でした。正座やあぐら、膝立ちといった座り方をする中で、自然と膝を曲げる機会が多く、股関節や足首も柔軟に使われていました。椅子やソファに座る生活が主流になった現代では、逆に膝を曲げて身体を支える動作が減っています。


2. 移動は徒歩、そして「すり足文化」


江戸時代の庶民の移動手段はほとんどが徒歩でした。特に草履や下駄で歩く場合、地面を強く蹴るというよりも、膝を少し曲げて「すり足」で歩く文化が根付いていたため、膝を柔らかく使う歩行スタイルが自然と身についていたのです。


また、歌舞伎や能、日本舞踊、武道などの伝統文化においても、膝を曲げて重心を下げる「しなやかな動き」が基本とされていました。


現代人が膝を使わなくなった理由


一方で現代人はどうでしょうか?膝が「伸びたまま」動く人が非常に増えています。その要因は以下のようなものが考えられます。


1. 椅子と机の生活


現代人のほとんどが、椅子に座って過ごす時間が長くなっています。仕事や勉強、食事やテレビなど、膝を曲げる機会が減り、結果として膝を「柔らかく使う」感覚が鈍ってしまっているのです。


2. 靴文化による動作の変化


現代ではスニーカーやヒールなどの靴が当たり前になり、膝の使い方が変化しました。クッション性のある靴に頼ることで、膝や足首で衝撃を吸収する必要が薄れ、身体全体のバネのような使い方が失われています。


3. 運動不足と筋力低下


膝を曲げる動作には、太ももやお尻の筋肉が必要です。しかし、現代の子どもや大人は運動量が減少しており、スクワットすら正しくできないケースも少なくありません。膝を曲げる=きついという印象を持つ人も多く、無意識に避けてしまうのです。


今こそ「膝を曲げる」動きを取り戻すべき


膝を柔らかく使うことは、身体の基本です。昔の日本人のように、自然に膝を曲げて動ける体を取り戻すことは、健康的な体づくりの第一歩になります。


以下のような習慣を取り入れることをおすすめします。


● スクワットを毎日の習慣に


特別な器具は必要ありません。自重のスクワットを10回から始めてみましょう。膝をしっかり曲げることに慣れ、太ももの筋力を回復させることができます。


● 正座・あぐらなどの床座りを取り入れる


1日5分でも構いません。床に座る時間を設けることで、膝・股関節・足首の柔軟性が養われます。


● すり足歩きを意識する


歩くときに「地面を強く蹴る」のではなく、膝をやや曲げ、足裏全体で接地するように意識して歩きましょう。静かでしなやかな歩き方は、膝や腰への負担も軽減します。


まとめ


膝を曲げることは、運動だけでなく、日常生活のすべてに関係しています。昔の日本人は、生活そのものが自然と膝を使う動作に満ちていました。現代の私たちに足りないのは、こうした「自然な身体の使い方」かもしれません。


ぜひ一度、自分の膝の使い方を見直してみてください。膝を柔らかく使える体は、健康でしなやかな動きの土台になります。そしてそれは、何歳からでも取り戻すことができるのです。



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