top of page

草鞋(わらじ)を履くと50m走や100m走は速くなる?伝統履物とスプリントの意外な関係

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 6月10日
  • 読了時間: 4分

日本の伝統的な履物「草鞋(わらじ)」は、昔から農作業や歩行に用いられてきました。軽くて通気性が良く、足裏に自然にフィットする草鞋は、一見すると「素足に近い感覚で走れるから速く走れそう」と思うかもしれません。しかし、果たして50m走や100m走のような短距離走で本当に速く走れるのでしょうか。


今回は草鞋の特徴やスプリント競技に求められる条件を比較しながら、草鞋が短距離走に向いているかどうかを科学的・歴史的視点で検証してみます。


草鞋の特徴とは?


草鞋は稲わらなどの天然素材を編んで作られています。軽量で通気性が良く、足裏に柔らかくフィットするのが大きな特徴です。

• 軽い:余計な重さがなく、足の負担が少ない。

• 柔軟:足の動きに自然に追従する。

• 素足感覚:足裏の感覚が研ぎ澄まされるため、地面を感じやすい。

• クッション性:柔らかい素材であるため、足裏への衝撃を和らげる。


これらの特徴は、特に長時間の歩行や軽い運動に適しています。実際に戦国時代の武士たちも移動時には草鞋を履いていました。


短距離走に求められるシューズの性能


一方、50m走や100m走などの短距離走は「爆発的な加速力」と「最大速度の維持」が重要です。競技用のスパイクシューズは、これらをサポートするために設計されています。


主な特徴は、

• グリップ力:地面をしっかり捉えて滑らない。スパイクのピンがこれを実現。

• 反発力:蹴った力を効率的に推進力に変える。

• 軽量化:足の振り出しを速くするため、軽量に設計。

• 保護機能:衝撃や摩擦から足を守る。


草鞋には「スパイクピン」がないため、舗装されたトラックや硬い地面でのグリップ性能は大きく劣ります。また、反発力もほぼありません。


草鞋を履いた短距離走は速いか?科学的な視点


1. 足裏の感覚とフォームへの影響


草鞋の最大の利点は「足裏の感覚を直接感じられること」です。足裏の神経が刺激されることで、バランスや体の動きを細かく調整できます。初心者や子どもが走る際にフォーム改善やバランス感覚向上に役立つ可能性はあります。


2. グリップ不足の問題


しかし、50mや100m走のような爆発的なスプリントでは、地面をしっかり蹴らなければなりません。草鞋の繊維は滑りやすく、スタートダッシュや加速時に足が滑るリスクが高いです。これがタイムの低下につながります。


3. 反発力がほとんどない


現代のスパイクは反発素材と硬いピンで地面を蹴った力を効率よく推進力に変えます。一方、草鞋は柔らかく衝撃を吸収しやすいため、蹴り返しの力が弱くなります。結果として、スピードを最大限に引き出すことが難しいです。


4. 足の安全性と疲労


短距離走では全力で足を地面に打ちつけるため、保護性能が重要です。草鞋は薄く耐久性も低いため、摩耗や足の怪我のリスクがあります。


伝統的履物と現代スポーツの接点


裸足ランニングやミニマリストシューズなど「足本来の動きを大切にする」動きが現代スポーツで注目されています。草鞋は「素足感覚」を得るには理想的な履物ですが、競技の高速化と安全性の観点では現代の専用スパイクに及びません。


草鞋を活かしたトレーニング方法とは?


草鞋を履くこと自体は短距離走で速くなる直接的な方法ではありませんが、

• 足裏の感覚を鍛えるトレーニング

• 足の細かい筋肉を強化するバランス練習

• 柔軟性や関節の動きを向上させるエクササイズ


には役立ちます。これらを通じて、結果的に走りの効率や安定性が高まる可能性があります。


まとめ:草鞋で短距離走は速くなる?


• 草鞋は軽くて柔らかいが、グリップ力・反発力・保護性能の面で短距離走の競技用シューズに劣る。

• そのため、草鞋を履いて直接50m走や100m走のタイムを速くすることは難しい。

• ただし、草鞋の素足感覚はトレーニングで足裏やバランスを鍛える際には有効。

• 競技では専用スパイクを履くことが速く走るためにはベスト。


伝統の草鞋と最新技術のスパイク、それぞれの長所短所を理解し、うまく活用することで、より効果的な短距離走トレーニングが可能になるでしょう。


もし「草鞋を使った具体的なトレーニング方法」や「素足感覚を高めるランニングドリル」など、詳しい内容が知りたい場合はお知らせください。さらに深掘りした内容をお届けします!



最新記事

すべて表示
「“怪物高校生” 藤木勇我 — “井上尚弥の再来”と呼ばれる男の強さの秘密と、プロへの期待」

日本ボクシング界にまた、新たな怪物が現れた。17歳にして国内最高峰大会を制し、無敗を誇る高校生ボクサー、藤木勇我。 その圧倒的な強さとポテンシャルが、すでに“井上尚弥の再来”と呼ばれている理由とは──。 今回は、藤木の現在地と未来への可能性、その強さの秘密を徹底分析する。

 
 
 
「江戸走りで足は速くなる?50m・100mから野球・サッカー・ラグビーまで使える“脱力走法”を徹底解説!」

「江戸走りで足は速くなるのか?」 これはここ数年、陸上競技や球技スポーツで注目が高まっているテーマです。江戸時代の飛脚が長距離を高速で走り続けたという走法ですが、その本質は「脱力」「軸の安定」「骨盤の効率的な動き」。これは現代のスプリント理論や球技の動きとも非常に近いものがあり

 
 
 
投手に本当に必要なのは球速ではなく「タイミング操作」|打者の予測を崩す投球とは

野球の世界では「球が速い投手=すごい」というイメージが根強く残っています。 確かに速球は魅力的で、観客の目を引き、投手自身の武器にもなります。しかし、実際にバッターを抑え続けられる投手は、必ずしも最速を誇る投手ばかりではありません。むしろ、打者が最も嫌がるのは “タイミングを外

 
 
 

コメント


© 2023 by Nicola Rider.
Proudly created with Wix.com

 

bottom of page