top of page

鬼ごっこだけで足は速くなる?それとも限界がある?|遊びと走力アップのリアル

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 6月16日
  • 読了時間: 5分

子どもが外で元気に走り回っている姿を見ると、なんだか安心しますよね。「たくさん遊んでいるから、きっと運動能力も伸びているはず」と思う保護者の方も多いのではないでしょうか。


特に、「うちの子は鬼ごっこが大好きなんです!それだけで走るの速くなりますか?」という声は、実際によく聞きます。


たしかに、鬼ごっこは体をたくさん使う全身運動ですし、瞬発力や持久力を育む面もあります。でも実際のところ、**鬼ごっこだけで100%「足が速くなる」と言い切れるのか?**と聞かれると、少し考える必要があります。


この記事では、「鬼ごっこが子どもの走力に与える影響」と「それだけで足が速くなるかどうか」、そして「より速く走るために必要なこと」について、丁寧に解説していきます。


鬼ごっこの良さ|本能的に動ける“全力遊び”


まず、鬼ごっこが持っているポジティブな要素を整理してみましょう。


① 本能的に全力ダッシュを繰り返す


鬼ごっこは、誰かに捕まらないように、あるいは誰かを捕まえようと必死に走る遊びです。スタートダッシュ、加速、急なストップ、方向転換…実にいろんな要素が自然と詰まっています。


② ゲーム性が高く、運動が苦手な子でも夢中になれる


「運動=トレーニング」となると身構えてしまう子でも、鬼ごっこなら楽しく動き続けることができます。気づけば長時間、全力で遊んでいたなんてこともよくあります。


③ 多様な刺激で身体全体を使える


逃げるときには急に曲がったり、ジャンプしたり、しゃがんだりと、全身を使った多彩な動きを自然にこなすことになります。これは運動神経の発達にとって非常に有効です。


では、なぜ鬼ごっこ「だけ」では足が速くならないのか?


ここで大事なのが、「鬼ごっこは良いけど、それ“だけ”だと限界があるよね」という視点です。


● 理由1:フォームの修正ができない


鬼ごっこ中、子どもは“とにかく逃げる”ことしか考えていません。猫背になっても、腕を振らなくても、膝が曲がらなくても、目的は「捕まらないこと」。つまり、速くなるために正しい走り方を練習する時間にはなっていないのです。


結果として、足が流れる走り方や、ももが上がらないクセが身についてしまう可能性もあります。


● 理由2:意識的に「走りの質」を高める練習ができない


「どのように地面を蹴るか」「スタートの反応をどう速くするか」「ピッチを上げるためにどうするか」などを意識しながら走ることは、鬼ごっこではなかなかできません。無意識の運動が中心なので、細かい改善点に気づく機会が少ないのです。


● 理由3:トレーニングとしての“反復性”がない


「繰り返し練習する」という点において、鬼ごっこはトレーニングに向いていません。スタート練習やもも上げドリルなどのように、同じ動作を反復して習得するという側面が欠けています。


足を速くするには「学び」と「意識」が必要


足を速くするには、ただたくさん走るだけでは足りません。重要なのは、「どう走るか」を知って、「正しい動きを繰り返し練習すること」です。


たとえば…


◆ 姿勢の改善


背中が丸まった姿勢で走る子どもは非常に多いです。重心が落ちるとピッチが落ち、スピードが出ません。骨盤の位置や体幹の使い方を整えることで、フォームは劇的に改善します。


◆ スタート練習の導入


スタートの1歩目が遅いと、50mや100mのタイムは大きく損をします。スタートダッシュの角度や、合図に反応するタイミングなどを練習することで、初速が変わってきます。


◆ リズムと足の回転の向上


足を速くするには「ストライド(歩幅)」と「ピッチ(足の回転数)」の両方が必要です。ラダーやスキップ、バウンディングなどを通して、これらを高めるトレーニングが効果的です。


◆ 楽しい中にも目的を持った動き


たとえば、「逃げながらももを高く上げて走ろう」といった鬼ごっこ内のルールを加えるだけで、遊びの中でもトレーニング要素が入ってきます。ただ走るのではなく、何のためにどう走るのかを意識させる工夫が大切です。


遊び × トレーニング = 最強の組み合わせ


結論としては、「鬼ごっこはとても良い。でもそれだけじゃもったいない」ということです。


鬼ごっこは、子どもの身体を自由に、のびのびと使わせてくれる貴重な遊びです。これは他のどんなスポーツにもつながる「運動の土台」になります。


でも、もっと速くなりたいなら、「技術」としての走りも学ぶ必要があります。


たとえば、鬼ごっこで「走る楽しさ」を体感し、週に1〜2回は走り方教室やフォーム練習を取り入れる。このように遊びとトレーニングをうまくミックスすることで、無理なく、かつ効果的に足を速くすることが可能になります。


まとめ:鬼ごっこで育つのは「素地」。そこに“意識的な練習”を足せば、走りは変わる


足が速くなるためには、

• 正しいフォーム

• 筋力や柔軟性

• タイミングや反応

• モチベーションと継続性


など、さまざまな要素が関わっています。鬼ごっこはその中の一部、「運動の基礎づくり」には非常に効果的です。しかし、技術的な成長には限界があるため、意識してトレーニングを取り入れることが必要です。


鬼ごっこは、足を速くするための「出発点」。そこから一歩踏み込んで、「どう走ればもっと速くなるのか」を学ぶことが、子どもの走力をグンと伸ばす近道です。


最新記事

すべて表示
「“怪物高校生” 藤木勇我 — “井上尚弥の再来”と呼ばれる男の強さの秘密と、プロへの期待」

日本ボクシング界にまた、新たな怪物が現れた。17歳にして国内最高峰大会を制し、無敗を誇る高校生ボクサー、藤木勇我。 その圧倒的な強さとポテンシャルが、すでに“井上尚弥の再来”と呼ばれている理由とは──。 今回は、藤木の現在地と未来への可能性、その強さの秘密を徹底分析する。

 
 
 
「江戸走りで足は速くなる?50m・100mから野球・サッカー・ラグビーまで使える“脱力走法”を徹底解説!」

「江戸走りで足は速くなるのか?」 これはここ数年、陸上競技や球技スポーツで注目が高まっているテーマです。江戸時代の飛脚が長距離を高速で走り続けたという走法ですが、その本質は「脱力」「軸の安定」「骨盤の効率的な動き」。これは現代のスプリント理論や球技の動きとも非常に近いものがあり

 
 
 
投手に本当に必要なのは球速ではなく「タイミング操作」|打者の予測を崩す投球とは

野球の世界では「球が速い投手=すごい」というイメージが根強く残っています。 確かに速球は魅力的で、観客の目を引き、投手自身の武器にもなります。しかし、実際にバッターを抑え続けられる投手は、必ずしも最速を誇る投手ばかりではありません。むしろ、打者が最も嫌がるのは “タイミングを外

 
 
 

コメント


© 2023 by Nicola Rider.
Proudly created with Wix.com

 

bottom of page