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足が速い人は体重移動がうまい?|速さを引き出す「重心コントロール」の真実

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 6月22日
  • 読了時間: 5分

「足が速い人は、何が違うのか?」


筋力?ピッチ?ストライド?もちろんそれらも要素のひとつです。しかし、見逃してはならないのが「体重移動のうまさ」=重心をスムーズにコントロールできる能力です。


走るという動作は、単に足を動かすことではありません。全身のバランスを保ちながら、タイミングよく地面に力を伝え、その反発を使って前へ進む動作の連続です。つまり、「いかに重心を乗せ、次に移していくか」がスピードに直結します。


この記事では、「体重移動」に着目して、足の速い人の動き方を深掘りしていきます。


■ 走るとは「重心を前に倒す」運動


まず、走る基本を理解しましょう。歩く・走るというのは、身体の重心を一歩前に「倒して」、その前方に足を出して支える、という動作の繰り返しです。


つまり、足を出してから体を乗せるのではなく、「体を前に傾けながら」それに合わせて脚を運ぶイメージです。


足の速い人はこの「前傾+体重移動」のコンビネーションが非常にスムーズ。だからこそ、地面との接地時間が短く、素早く次の一歩に移ることができます。


■ 足が地面に着いた瞬間に「乗せる」人は速い


走りの中で一番重要なのは、足が地面に接地した瞬間に体重(重心)がしっかり足の上に乗っているかどうかです。


この“乗り方”が甘いと、地面からの反発を得ることができず、推進力が弱くなります。逆に、足が地面に着いた瞬間に体重がピタッと乗っていると、足裏全体で反発を受け、前への力に変換できます。


速い人はこの「体重の乗せ方」が上手です。重心がぶれず、足にタイミングよく“預ける”ように体を動かしているのです。


■ 着地のとき、地面に対して真上から乗る


足が遅い人の多くは、着地の際に「重心が後ろに残ったまま」足だけが前に出ていることが多いです。これでは体重がうまく乗らず、むしろブレーキになります。


一方、速い人は、地面に足が着く瞬間に、自分の重心がその足の真上か、わずかに前にある状態で着地しています。これができると、体が自然と前に進むような感覚になり、加速もスムーズです。


この“前に倒れる感覚”を怖がらずにコントロールできるのが、速い人の特長でもあります。


■ 膝を上げる=体重を浮かすではない


走りの練習で「膝を高く上げろ」と言われることがありますが、ここでよくある誤解が、「膝を上げた足に体重を乗せる」という意識です。


実際には、膝を上げる脚(遊脚)は、重心を乗せるためのものではなく、重心を前に移す準備のための動作です。つまり、「地面に着ける側の足」に、重心を預けながら、膝を振り出すことで、次の着地の準備をしているわけです。


足が速い人は、膝をただ高く上げているのではなく、「足を素早く振り戻し、前に置く」意識が強いのです。


■ 足を置く位置は「重心の真下」が鉄則


足の速さに直結するポイントのひとつが、足を接地する位置です。これは「重心の真下、またはわずかに前」が理想とされます。


足が体よりも前方に出すぎると、ブレーキになります(いわゆるオーバーストライド)。一方、足が体の真下に収まっていれば、地面からの反発を無駄なく受けられ、前への推進力につながります。


速い人は無意識にこれができています。ストライドが広くても、体の重心に対して正しく足を置けているのです。


■ 体幹が安定していると体重移動がスムーズ


重心のコントロールで欠かせないのが「体幹の安定」です。体幹がぐらつくと、重心もブレて、足にしっかり乗せられなくなります。


足の速い人ほど、体幹が安定していて、走っているときも上半身がブレません。無駄な上下動や左右の揺れが少ないため、重心の位置もブレず、常に効率的に体重を乗せられています。


「速く走る=体重移動の連続芸術」だとするならば、その芸術の土台は、やはり体幹の力に支えられています。


■ 重心移動を体感するおすすめ練習


以下は、体重移動を意識するうえで効果的な練習方法です。


①前傾姿勢ダッシュ(スタート加速練習)


・スタート姿勢から、前傾を保ったまま5〜10mダッシュ

・「前に倒れそう」な感覚の中で、素早く足を出す


→ 重心を前に倒しながら脚を出す感覚を習得


②その場スキップ+前進


・その場でリズミカルにスキップ(足を高く引き上げる)

・そこから同じリズムで前に進む


→ 足の真下で接地する感覚と、重心を前に運ぶ感覚をつかむ


③片足バランス+スイング


・片足で立ち、反対の足をリズミカルに振る(前後)

・体の軸がぶれないように意識


→ 片足での「乗る」感覚と、体幹の安定を鍛える


■ 結論:速さは「体重の預け方」で決まる


足が速い人は、単に筋肉があるから速いのではありません。体重をどう預け、どのタイミングで移動させるかという“感覚”が鋭いのです。


・足が着いた瞬間にしっかり重心を乗せている

・膝を上げる足に体重を乗せようとはしない

・常に重心が体の真下~前方にあり、ブレがない

・無駄な力がなく、自然と加速できる


このような「重心と体の対話」ができているからこそ、足の速さが生まれているのです。


ぜひ、あなたも走るときに「重心はどこにあるか?」「足に体重がしっかり乗っているか?」を意識してみてください。


足が速い人の秘密は、筋肉よりも“感覚”にあるかもしれません。


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