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資本主義社会がつくる健康と運動の構造|医者と製薬会社、指導者とメーカーの関係を考える

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 7月7日
  • 読了時間: 5分

資本主義社会がつくる健康と運動の構造|医者と製薬会社、指導者とメーカーの関係を考える


私たちの健康やスポーツに関わる世界には、常に「お金」と「仕組み」が存在しています。


例えば、病気になると私たちは病院に行きます。そこで処方される薬は、製薬会社によって開発・販売されています。運動をする人なら、プロテインやスポーツドリンク、トレーニング器具を使ったりもするでしょう。それらはスポーツ用品メーカーによって商品化され、コーチやトレーナーが薦めてきたりします。


ここには、「純粋な健康や成長のためのアドバイス」と思っていたものが、実は背後に「資本主義的な構造」が深く絡んでいる現実があります。


この記事では、医者と製薬会社の関係、そしてスポーツ界におけるコーチ・トレーナーと商品メーカーとの関係性から、資本主義社会の仕組みを掘り下げて考察していきます。


■ 医者と製薬会社:病気がビジネスになる仕組み


私たちは、医者が出す薬を「中立で正しいもの」と信じがちです。しかし、医療の裏側には製薬業界との深い結びつきが存在しています。


例えば、ある病気に対する新薬が開発されたとしましょう。製薬会社は医者にその薬を紹介し、セミナーに招いたり、研究費を提供したりすることで、その薬の使用を促します。これは合法的な「マーケティング活動」として広く行われており、決して珍しい話ではありません。


ここで見逃してはいけないのが、「病気の存在が製薬業界の利益源になっている」という事実です。


薬が売れるためには、対象となる病気や症状が社会的に「注目されている」必要があります。言い換えれば、「病気でいる人」がいないと、薬は売れないのです。


もちろん、製薬会社も人々の健康を願っている面はあるでしょう。ただ一方で、営利企業である以上、「薬が売れる状態」が企業の存続・成長に直結しています。

そのため「病気を完全に治す薬」よりも、「ずっと飲み続ける薬」のほうが収益としては優れているのです。


この構造のなかで医師が製薬会社から無意識に影響を受けているとすれば、果たしてそれは「患者のための医療」と言えるでしょうか?


■ スポーツ界にも同じ構図がある


医療の世界だけではありません。スポーツやフィットネスの世界でも、似たような関係性が存在しています。


例えば、プロのアスリートがプロテインを紹介する広告を見たことはありませんか?

あるいは、有名なトレーナーが特定のスポーツドリンクを推奨していたり、最新のトレーニング器具をSNSで紹介していたりする場面もよく見かけます。


ここにも、マーケティングの力が強く働いています。


メーカーは、指導者・コーチ・トレーナーを「影響力のある存在」として位置づけ、自社製品を紹介してもらうことで、一般消費者への影響力を高めようとします。

その結果、「このプロテインを飲まないと強くなれない」「この器具を使わないと効果が出ない」というような印象が、人々の頭の中に刷り込まれていくのです。


もちろん、良い商品もたくさんあります。プロテインはタンパク質補給に役立ちますし、スポーツドリンクも運動中の水分・電解質補給には効果的です。問題なのは、それが本当に必要なのかどうかを冷静に判断する余地が奪われている点です。


「売れるように設計された情報」の中で、私たちは日々選択をしています。

それが果たして、自分の体のためなのか、企業の利益のためなのか、立ち止まって考えることが大切です。


■ 資本主義は「問題が続くほど」儲かる仕組み


ここで改めて、資本主義の本質を考えてみましょう。


資本主義とは、簡単に言えば「利益を上げることが目的の経済システム」です。商品が売れ、利益が出て、それが企業や個人の成功につながります。


しかし、この仕組みには盲点もあります。それは、「問題がある状態」が、企業の利益につながりやすいという点です。

• 病気が多ければ、薬が売れる

• 不安があれば、サプリや健康食品が売れる

• 運動の悩みがあれば、器具やドリンクが売れる


このように、「解決されたら困る」という逆説的な構造が、資本主義の中には潜んでいます。


例えば、すべての人が自分に合った運動法と食事法を見つけ、健康に生活できるようになったらどうなるでしょうか?

プロテイン市場、ダイエット市場、トレーニング器具市場の多くは縮小してしまいます。


つまり、企業にとっては「解決しすぎない」ほうが、経済的には都合が良いのです。


■ 健康も運動も「売られる時代」に


かつて、健康や体力づくりは「日常生活の一部」でした。外を歩いたり、農作業をしたり、子ども同士で遊んだりする中で、自然と体は鍛えられていたのです。


しかし現代は、健康や運動が「商品」として売られる時代になりました。

• 健康を維持するには、〇〇サプリを飲みましょう

• 運動不足を解消するには、〇〇ジムに通いましょう

• 足が速くなるには、〇〇プロテインを飲みましょう


こうした広告が、私たちの「不安」や「不足感」を刺激し、消費を促します。

情報が多すぎる時代、私たちは「売り手の意図」に気づかずに、そのまま受け入れてしまうことが少なくありません。


■ 本当に必要なものを見極める力を持つ


大切なのは、「すべてを疑え」ということではありません。

プロテインも、薬も、トレーニング器具も、使い方次第では非常に有効なものです。


ただし、それらを使うかどうかは、自分の意思で判断する必要があるということです。


「本当に今の自分に必要なのか?」

「それを使うことで、どんな利益が誰にあるのか?」


こうした問いを持つことで、私たちは情報に振り回されるのではなく、選択する側に立つことができます。


■ まとめ:資本主義社会の中で「健やかに生きる」とは


資本主義は、私たちの生活を豊かにしてくれた一方で、常に「売る側の意図」とともに私たちの周囲に存在しています。


医者と製薬会社、トレーナーとプロテインメーカー。

それぞれの関係の中には、利益があり、立場があり、ビジネスがあります。


そのなかで、私たちは「自分のための健康」「自分のための運動」をどのように考えていくべきでしょうか。


・情報に流されず、本質を見極める

・流行よりも、自分の体の反応を大切にする

・お金をかけなくてもできることから始める


これが、資本主義社会の中で「健やかに、主権を持って生きる」ための第一歩です。


あなたの健康と成長の選択肢が、あなた自身の意志で選ばれるものでありますように。


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