筋トレをすると動きがスムーズじゃなくなる?その理由を徹底解説!
- 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
- 7月24日
- 読了時間: 5分
筋トレは、筋力アップやボディメイク、パフォーマンス向上に役立つ大切なトレーニングです。しかし、一方でこんな声を耳にすることがあります。
「筋トレを始めてから動きが重くなった」
「スピードやキレが落ちた気がする」
「スムーズに走れない、跳べない」
筋肉が強くなるはずの筋トレで、なぜ動きがぎこちなくなることがあるのでしょうか?この記事では、その理由と背景、さらに改善方法まで、わかりやすく解説していきます。
1. スムーズな動きとは?
まずは「スムーズな動き」とは何かを確認しましょう。
スムーズな動きとは、全身の関節や筋肉が連動し、無駄な力を入れずに自然に動くことです。しなやかで流れるような動きは、スポーツの場面はもちろん、日常生活でも重要です。
例えば、
• 歩くときにガクガクしない
• 走るときに手足がバラバラにならない
• 跳ぶ、しゃがむ、方向転換が軽やか
といった動きには、筋力だけでなく、柔軟性、協調性、脱力、タイミングなどが密接に関わっています。
2. 筋トレで動きがぎこちなくなる主な理由
筋トレによって動きがスムーズでなくなる原因は、いくつかあります。順に詳しく見ていきましょう。
① 筋肉が硬くなる(柔軟性の低下)
筋トレは筋肉を太く・強くする一方で、筋肉や腱の「伸び縮み」の能力が落ちることがあります。とくに可動域を無視したフォームで筋トレを繰り返すと、筋肉は縮んだまま固まりやすくなります。
たとえば、スクワットを浅くしかやらない、ベンチプレスで胸をしっかり開かない、といったケースです。
その結果、関節の動きが制限され、「大きく、しなやかに」動くことが難しくなります。
② 力みグセがつく(脱力ができない)
筋トレでは「力を最大限に発揮する」ことが求められます。それ自体は悪いことではありませんが、トレーニングを続けるうちに、日常の動作でも常に力んでしまう人がいます。
人間の動作には「脱力」と「緊張」のバランスが必要です。力を抜くべきところで抜けず、ずっと力が入っていると、ぎこちなく見えたり、スピードやキレが失われたりします。
とくにスポーツのスプリント動作や方向転換では、「力を抜いて、入れて、また抜く」というリズムが重要ですが、これが苦手になってしまうのです。
③ 神経系の連携が鍛えられていない
筋トレは主に「筋肉」にアプローチするトレーニングです。ですが、人間の動作は筋肉だけでなく、「神経の働き」によって支えられています。
スムーズな動きとは、筋肉同士が連携して、適切なタイミングと順序で動くことです。しかし筋トレでは、「一つの筋肉だけを強化」することが多いため、全身の協調性(コーディネーション能力)が育ちにくい傾向があります。
そのため、
• 足は強くなったのに、うまく速く走れない
• 上半身の力が強くなったのに、パンチにスピードが出ない
といったズレが起こるのです。
④ 動作の練習が不足している
筋トレばかりして、「実際に動く練習」をしていない場合も、動きはぎこちなくなります。
たとえば、筋トレでジャンプ力を高めたければ、「ジャンプ動作」自体の練習も必要です。筋肉をつけただけでは、神経系やタイミングが養われず、結果として「力はあるけど動けない」体になってしまいます。
3. どんな筋トレが「動きの鈍さ」を生むのか?
以下のような筋トレは、動作スムーズさを損なう原因になりやすいので注意が必要です。
• 高重量ばかりで関節可動域が狭いトレーニング
• ゆっくりした動作ばかりで素早い出力が鍛えられない
• 筋肥大だけを目的にした、単調なマシントレーニング
• 柔軟性や瞬発力のトレーニングをしない
「筋力はあるけど、動けない」というアンバランスな体にならないように、筋トレの種類や目的を考えることが重要です。
4. スムーズに動ける体をつくる筋トレとは?
では、筋トレをしながらも動きをスムーズに保つには、どんな工夫が必要なのでしょうか?以下の4つのポイントが大切です。
① フルレンジで動かす
筋トレは「可動域いっぱい」で行うことが基本です。スクワットならしっかり深く、ベンチプレスなら胸までしっかり下ろす。こうすることで筋肉が縮むだけでなく、伸びる動きも養われます。
② 動的ストレッチやモビリティトレーニングを取り入れる
筋トレ後や準備運動として、関節を動かしながらのストレッチ(ダイナミックストレッチ)を取り入れましょう。股関節、肩甲骨、足首など、動きの要となる部位の柔らかさは、スムーズな動作のカギです。
③ コーディネーショントレーニングを組み合わせる
ラダー、ミニハードル、ジャンプ、リズム運動など、「筋肉の連携」や「神経の反応」を鍛える運動も大切です。これらを筋トレと一緒に行うことで、「筋力を動きに変える力」が育ちます。
④ 実際の動作練習をする
走る・跳ぶ・投げるなどの競技的な動作練習を忘れずに行いましょう。筋肉は実際の動きの中で使われてこそ意味があります。筋トレで作った筋肉を「どう使うか」を体に覚えさせていくことが必要です。
まとめ
筋トレによって体が硬くなったり、動きが鈍くなったりするのは、「筋肉は育ったけど、動作の連携が育っていない」ことが原因です。
スムーズな動きを保つには、
• 可動域を意識したトレーニング
• 柔軟性と脱力の習得
• 神経系のトレーニング
• 実際の動作練習
この4つをバランスよく行うことがカギとなります。
筋トレは決して悪者ではありません。正しく行えば、むしろ動きのキレやパフォーマンスは大きく向上します。大切なのは、「筋肉を鍛えること」と「動ける体を作ること」の違いを理解し、目的に合ったトレーニングを選ぶことです。
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