筋トレよりも効果的?イメージトレーニングがパフォーマンスを高める理由
- 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
- 7月15日
- 読了時間: 4分
運動能力を高めたいと思ったとき、まず思い浮かぶのは「筋トレ」や「長時間の練習」ではないでしょうか?もちろん、それらは重要です。しかし近年、“今よりもレベルの高い動き”を明確にイメージするトレーニングが、実際のパフォーマンス向上に大きな影響を与えることがわかってきました。
今回は、筋力トレーニングや長時間の反復練習よりも、イメージトレーニングの質が結果を左右するという視点から、運動パフォーマンスを高める方法について解説します。
1. 「量より質」の時代へ
運動の上達といえば「たくさん練習する」「毎日筋トレする」という考えが根強くあります。しかし、同じ動きを何時間も繰り返しても、正しく体を使えていなければ意味がないどころか、悪いクセが定着してしまうリスクさえあります。
たとえば、走りのフォームが崩れている状態で何十本ダッシュしても、そのフォームが身についてしまうだけです。疲労が溜まり、怪我のリスクも高まります。
では、どうすれば良いのか?
そこで大切になるのが、「より高いレベルの動き」を頭の中で先にインストールしておくこと。つまり、イメージトレーニングです。
2. 脳は「イメージ」と「現実」を区別できない
スポーツ心理学の分野では、「脳は現実とイメージの区別がつかない」という研究結果が多く報告されています。つまり、
実際に体を動かしていなくても、頭の中で動きを明確に思い描けば、脳はその動作を“経験した”と認識するのです。
このときに重要なのが、「いま自分ができる動き」ではなく、**「自分がまだできないけれど、理想とする動き」**をリアルに思い描くこと。
プロアスリートの多くも、試合前にはイメージトレーニングを行っています。しかも、自分の体でプレーしている感覚、筋肉の張り、スピード、周囲の空気感までも再現するレベルで行います。
3. イメージトレーニングの具体的な効果
以下は、実際に報告されているイメージトレーニングの効果です。
• 運動神経のルートが活性化される
→ 実際に筋肉を動かす準備が整う
• 筋力が向上する(ただし初期段階)
→ 初心者の場合、イメトレだけで筋力アップの例も
• ミスが減る・動きがスムーズになる
→ 試合や本番での緊張にも強くなる
• 動作の“正しい感覚”を獲得できる
→ 技術の習得スピードが上がる
つまり、頭の中で明確に理想の動きを描くことで、実際の行動がそのイメージに近づいていくというわけです。
4. イメージの「質」がパフォーマンスを変える
大事なのは、ただ漠然と「うまく走っている自分を想像する」のではなく、どこでどんな力を入れて、どこをどう動かすのか、細部までリアルに描くことです。
たとえば短距離走であれば、
• スタートのときの前傾角度は?
• 腕はどの高さまで振る?
• 地面を蹴るタイミングは?
• 接地時間は?
• 加速時の姿勢は?
こうした細かな点を、一流選手の動画や自分の映像と比較しながら明確に描くことで、「脳の中の動作プログラム」が更新されるのです。
5. 実際の筋トレや練習と組み合わせる
ここで誤解してほしくないのは、「筋トレや練習をしなくていい」ということではありません。イメージトレーニングは、**「行動の質を高めるための準備段階」**と考えてください。
つまり、
• ①イメージで理想の動きを描き
• ②実際に体を動かして試し
• ③その動きをまたイメージで修正し
• ④さらに体で確かめる
この反復ループが最速の成長サイクルになります。
長時間だらだらと練習するよりも、質の高い動作を短時間で集中して行う方が成果が出やすいのです。
6. 子どもにも効果あり!イメトレは年齢関係なし
イメージトレーニングは大人だけのものではありません。小学生や幼児でも、**「こうやって走ったらかっこいい」「この人みたいに走ってみたい」**という理想像を頭の中で持つことで、体の使い方がどんどん洗練されていきます。
特に、言葉での説明が難しい年齢ほど、映像や動作の模倣から入るイメージトレーニングが効果的です。
まとめ:今の自分より上の自分を“先に脳にインストール”する
筋トレや反復練習はもちろん大切です。しかし、ただ量をこなすのではなく、「どう動くべきか」を先に理解しておくことが成長の近道になります。
そのためにも、「今の自分」よりも「ワンランク上の自分」ができる動きを、頭の中で明確に描く習慣をつけてみましょう。
パフォーマンスは、「筋肉」ではなく「脳」が先に作るのです。
おすすめ練習法
• 動画を見ながら理想のフォームを真似てみる(ミラーリング)
• 寝る前に10分間、自分の動きを頭の中でシミュレーション
• 実際の練習後に、今日の動きを反省しながらイメージで再現
「イメージトレーニング」は、今日からでもすぐに始められます。
ぜひ、練習の中に“脳の練習”を取り入れて、パフォーマンスを一段階引き上げていきましょう!
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