速歩きと走りの違いは?速歩きで100mを9秒台で走れるのか、徹底検証!
- 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
- 10月5日
- 読了時間: 4分
「ウサイン・ボルトのように速く走れたら…!」
誰もが一度はそう思ったことがあるでしょう。
ではもし、“走る”のではなく“速歩き”で100mを9秒台で移動できたら?
──そんな夢のような話、実際どうなのでしょうか。
今回は「速歩きと走りの違い」から、「速歩きで100mを9秒台にできるのか?」まで、科学的にわかりやすく解説します。
🏃♀️速歩きとは?ただの“早歩き”ではない!
速歩きとは、一般的な歩行(時速3〜4km)よりも速く、時速5〜7km程度のスピードで歩く運動のこと。
ウォーキングとジョギングの中間に位置する運動として、近年は健康法やダイエット目的で注目されています。
速歩きの特徴は「常に片足が地面に接している」こと。
走りとは違い、“飛翔時間”(両足が同時に地面から離れる瞬間)が一切ありません。
このため、関節や筋肉への衝撃が少なく、持久的な運動に適しています。
例えば、フィットネスクラブ「TIPNESS」の解説では、
速歩きは1時間あたり約250〜350kcalを消費し、脂肪燃焼にも効果的と紹介されています。
つまり、速歩き=長く続けやすく健康的な運動なのです。
🏃♂️走る動作との決定的な違い
一方、「走る(ランニング)」は、明確に異なるメカニズムを持ちます。
走る動作では、体を前に投げ出すようにして移動し、空中に両足が浮く時間が存在します。
これが「飛翔時間」です。
さらに、短距離走のようなスプリントでは、
• 加速区間(0〜40m)
• 最高速度区間(40〜70m)
• 減速抑制区間(70〜100m)
といった速度変化の段階があり、筋肉の瞬発力やフォームの最適化が勝負を分けます。
つまり、走りとは重心移動と跳躍の連続であり、単に「速く足を動かす」こととは異なります。
⚖️速歩きと走りの違いを整理してみよう
項目 速歩き 走り
接地状態 常に片足が地面に接している 一瞬両足が地面から離れる
動作の特徴 重心を低く保ち推進 重心を浮かせながら弾むように前進
スピード 時速5〜7km(最大で約8〜9km) 世界トップスプリンターは時速40km超
エネルギー消費 中程度(有酸素運動中心) 高強度(無酸素運動要素大)
筋力・負荷 少ない・継続向き 大きい・瞬発系
この表を見ると一目瞭然。
速歩きは「歩行の延長線上」にあり、走りは「跳躍を伴う爆発的動作」なのです。
⏱️100mを9秒台で走るには、どれくらいのスピードが必要?
ウサイン・ボルト選手の世界記録(9.58秒)を例に見てみましょう。
100m ÷ 9.58秒 = 約10.44 m/s
これは時速に換算すると、なんと 約37.6km/h!
また、レース中盤では最高時速44km/hに達していたというデータもあります。
このスピードは、自転車を全力で漕いだときよりも速く、一般人には到底出せません。
さらに、人間の速歩き速度の限界は、競歩選手でも**時速15km程度(=約4.2 m/s)**が限界。
つまり、走る速度の半分以下にとどまるのです。
🚫速歩きで100mを9秒台は出せるのか?
結論から言うと──不可能です。
理由はシンプルで、「速歩き」には“飛翔時間”がないため、
どれだけ筋力を鍛えても、地面を押す力よりも前に進む速度が上がらないのです。
物理的に考えると、速歩きで時速40kmに達するには、
人間の足が“空を蹴る”レベルのエネルギーを地面に伝える必要があります。
しかし、常に片足が接地している状態では、それを実現することはできません。
たとえ筋肉を鍛え抜いたトップ競歩選手でも、100mを15秒前後で歩くのが限界。
したがって、「速歩きで9秒台」は生理学的にも物理的にも到達不能なのです。
💡もし“限界の速歩き”に挑戦するなら?
それでも、限界に挑むのは面白い試みです。
もし「最速の速歩き100m」を目指すなら、次の要素が鍵になります。
1. ピッチ(足の回転数)を最大化する
2. ストライド(歩幅)をやや広げる
3. 上体を前傾させ、重心を前へ送る
4. 腕を素早く振ってリズムを保つ
つまり、ほぼ「走る一歩手前」まで動作を追い込むこと。
それが“人類最速の歩き”に近づく唯一の方法です。
✅まとめ:速歩きと走りは似て非なるもの
• 速歩きは常に片足が接地している「歩行運動」
• 走りは跳躍と爆発力による「推進運動」
• 速歩きの最高速度は時速15km前後
• 9秒台で100mを走るには時速40kmが必要
→ 速歩きで9秒台は絶対に不可能
ただし、「歩きの限界」を突き詰めることは、
人間の身体能力の境界を考える上で非常に興味深いテーマです。
“速歩きの限界”を知ることで、走ることの凄さがより実感できるはずです。
💬おまけQ&A
Q:速歩きってどれくらいのスピードで歩けばいい?
A:息が少し上がる程度、**時速6〜7km(1kmを8〜10分)**が目安です。
Q:速歩きはダイエットに効果ある?
A:脂肪燃焼効果が高く、膝や腰への負担も少ないので、継続すれば十分に効果があります!
📍まとめると──
速歩きで100mを9秒台は夢のまた夢。
しかし、「歩き」と「走り」の境界線を意識することこそ、
自分の身体を深く理解し、より健康的に動く第一歩です。
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