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グンゼ、アパレル事業の構造改革──工場閉鎖と希望退職の実施。グンゼスポーツの影響について

  • 執筆者の写真: 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
    森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都
  • 8月8日
  • 読了時間: 4分

背景と不振状況


グンゼ株式会社は、長年にわたり「BODY WILD」「キレイラボ」「サブリナ」などインナーウエアやレッグウエアを展開し、国内アパレル市場で高い認知を誇ってきました。しかし、近年、量販店や百貨店などでの下着売り場の縮小が進む中、SPAブランド(ユニクロのエアリズムやヒートテック、無印良品等)の成長により卸販売による販売チャネルが圧迫されています 。


この影響もあり、アパレル事業は売上・利益面で大きなダメージを受けています。2025年3月期には、アパレル事業は売上607億円(全体の44%)ながら、営業利益はわずか7億円(構成比7%)にとどまり、コロナ前の2020年3月期(売上694億円/営業利益27億円)と比べても業績が悪化している状況です 。


さらに、2025年4〜6月期第1四半期の連結決算では、売上高322億4000万円(前年同期比−3.4%)、営業利益18億600万円(−13.3%)、最終損益では14億7000万円の赤字となり、アパレル事業の落ち込みが主因とされています 。


工場閉鎖と生産・物流の集約


こうした構造的不振に対して、グンゼは「2025~26年度の経営計画」で抜本的な構造改革を打ち出しました。ポイントは以下の通りです。

• 国内のインナーウェア生産拠点を集約し、宮津工場(京都府宮津市)のみに集約する。

• 閉鎖予定の拠点:

• 梁瀬工場(兵庫県)および連結子会社・養父アパレル(兵庫県)は2026年3月末まで、

• 東北グンゼ(山形県)と非連結子会社・矢島通商(秋田県)は2026年12月末までに操業停止 。

• 物流体制も再編。グンゼ物流子会社の拠点、京都物流センター綾部事務所(2025年12月末)、福知山事務所(2026年12月末)を閉鎖し、国内物流を7拠点に再編 。


こうして、製造・物流の大幅な集約によって、コスト構造の最適化を目指します。


希望退職制度の導入


さらに、人員構成も見直しへ。アパレルカンパニー(企画・営業部門)に在籍する満40歳以上の社員を対象に、希望退職の募集を行うと発表しました。

• 特典として退職加算金の支給や再就職支援を行う予定で、募集人数は未定 。

• 退職日は2026年1月20日を予定しているとのことです 。


この制度により、人員適正化と費用負担の軽減を狙い、アパレル事業の持続可能な体質強化が目的とされています。


財務面でのインパクト


構造改革に伴う特別損失として、34億円が2025年4〜6月期に計上される見通しです。ただし、26年3月期の連結業績予想にはすでに織り込まれており、業績予想の変更はないとしています 。


子会社「グンゼスポーツ」への影響


現状・取り組み内容


グンゼスポーツ株式会社は、グンゼの連結子会社としてスポーツクラブやスクール事業を展開しています。以下のような取り組みが進んでいます:

• 店舗展開:

• ジュニア向けの「グンゼのたいいく」スクール(大阪府吹田市・名古屋市など)や、

• 「京都八幡店」のリニューアル(LIVEスタジオ導入、ホットプログラム拡充、露天テラス設置)など、専門性の高いサービス提供に注力しています 。

• 店舗整理:

• 決算説明資料によれば、不採算店舗の閉鎖が進められ、店舗数は2024年度末には5店舗閉鎖し、15店舗体制へと再編されている 。


構造改革の影響


現時点で、グンゼスポーツに関して直接的な影響や計画(追加閉鎖、希望退職など)は公表されていません。ただし、親会社グンゼで進むアパレル事業の構造改革やコスト削減の流れは、連結グループ全体に影響を与える可能性があります。

• まず、アパレル部門の再編によりグループ全体の経営資源(人材・資金)が制限される可能性があります。スポーツ事業への投資や拡大計画に影響が出る可能性も否定できません。

• 一方、スポーツクラブ・スクール事業はアパレルとは異なる収益源であり、成長戦略の柱として残される可能性もあります。特に差別化されたプログラムやスクール展開は、収益性ある分野として見直される可能性があります。


まとめ


グンゼはアパレル事業の不振を受け、生産・物流の統合と希望退職制度の導入による大規模な構造改革を進めています。国内の生産拠点は宮津工場1カ所に集約され、物流体制も再編。退職プログラムにより人件費削減も視野に入れています。


一方で、子会社グンゼスポーツに関しては、現時点で直接的なネガティブな情報はありません。むしろ、スクール事業や店舗リニューアルなどの取り組みが進められ、地域密着型のスポーツ・健康サービスとして差別化を図っている段階です。しかし、アパレル部門の資源制約が今後スポーツ事業へも影響を及ぼす可能性があり、注視が必要です。


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