50年の“ヒーロー朝”に幕──スーパー戦隊シリーズ 終了の衝撃と少子化が浮かび上がらせた構造
- 森 雅昭(かけっこ走り方教室/体操教室枚方市/大阪/京都

- 10月31日
- 読了時間: 4分
1975年に第1作となる 秘密戦隊ゴレンジャー が放送を開始し、日曜朝という“家族がテレビの前に集う時間”を彩ってきた スーパー戦隊シリーズ。
その長い歴史に幕が下ろされるというニュースが、2025年10月30日に報じられました。
子どもたちのヒーローであり続けた番組が、なぜ“終わる”選択を迫られたのか。
本記事では、少子化 と 収益構造の変化 に焦点を当てながら、この国民的ヒーロー文化の終焉と新たな可能性を探ります。
50年の功績――子ども時代の記憶とヒーロー文化
「赤」「青」「黄」「緑」「ピンク」と色分けされたヒーローたちがチームを組み、巨大ロボットで悪と戦う――。
このスタイルは、昭和から令和までの子どもたちの憧れとして定着してきました。
親子で「次はどんな合体技?」「新メンバーは誰?」と盛り上がった記憶を持つ人も多いでしょう。
また、戦隊シリーズは若手俳優の登竜門でもありました。のちに人気俳優となった多くの人々が、この作品で初めてヒーローとして登場しました。
まさに「ヒーロー番組=子どもの夢と親の懐かしさ」。それが半世紀にわたり続いたスーパー戦隊シリーズの真価でした。
終了決定――背景にある構造的な“限界”
しかし、シリーズ終了の背景には複数の課題がありました。
報道によると、番組の制作費高騰、テレビ広告収入の減少、映画やイベント・関連グッズの販売減少など、収益構造の悪化 が続いていたといいます。
特撮作品は毎年新作を制作するため、スーツやロボット、CGなどのコストが年々増加。
その一方で、スポンサー収入や玩具の売り上げは減少傾向にあり、採算が取れなくなっていたようです。
(出典:スポニチ)
さらに大きな要因として挙げられるのが、少子化による視聴・購買層の縮小です。
子どもの数が減れば、玩具を買う家庭も減り、視聴率も下がります。
番組と連動する商品ビジネスが成立しなくなると、シリーズを維持すること自体が難しくなってしまいます。
少子化の影――“子ども向け”コンテンツの限界
日本全体で子どもの数が減る中、子ども向けテレビ番組や玩具ビジネスの縮小が深刻化しています。
長年、「テレビ放送 → 玩具販売 → 映画・イベント展開」という循環で成立してきたヒーロー産業は、その土台が崩れつつあるのです。
さらに、現代の子どもたちはテレビよりも YouTube や動画配信サービス に時間を費やす傾向があります。
「日曜の朝に家族でテレビを観る」という習慣そのものが失われつつあり、これもスーパー戦隊のような番組にとっては痛手となりました。
つまり、少子化 × 視聴環境の変化 × 収益低下 という三重苦が、番組の継続を困難にしていったのです。
ヒーロー文化の終わりか、それとも変化の始まりか
とはいえ、「スーパー戦隊シリーズ終了」がすべての終わりを意味するとは限りません。
報道では、今後は アニメ化・配信限定シリーズ・海外展開 といった新しい形も模索されているとされています。
(参考:日刊スポーツ)
つまり、これまでの「テレビ+玩具+映画」というフォーマットを離れ、
デジタル時代に合わせた“新しいヒーローの形”へと変化していく転換点にあるのかもしれません。
SNS上では、「日曜の朝が寂しくなる」「子どもの頃の夢が消える」といった声が多く見られます。
しかし、ヒーローは常に時代に合わせて姿を変えてきました。
私たちは今、「終わり」ではなく「次のステージへの進化」を目撃しているのかもしれません。
おわりに
50年近くにわたり、日本のテレビにおける“ヒーロー”の象徴だったスーパー戦隊シリーズ。
その終了は、単なる番組の終焉ではなく、子ども・家庭・テレビ・玩具産業という複数の文化・経済構造が変わる象徴的な出来事です。
少子化、視聴形態の変化、収益モデルの揺らぎ――。
これらの波の中で「日曜朝のヒーロー」は消えようとしていますが、
同時に、デジタル時代にふさわしい“新たなヒーロー像”が生まれる兆しもあります。
あなたの心に残る戦隊ヒーローは、どのチームでしたか?
これを機に、半世紀にわたるヒーローたちの軌跡をもう一度振り返ってみてください。

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