足を速く走るために「量」と「質」どちらが大切か?徹底分析
- 森 雅昭(スポーツ家庭教師/かけっこ走り方教室/体操教室枚方市)
- 4月3日
- 読了時間: 4分
短距離走やスプリント競技でタイムを縮めるためには、適切なトレーニングが不可欠です。その際、「とにかく練習量を増やすべきか?」それとも「少ない回数でも質の高い練習を重視すべきか?」という問題がしばしば議論になります。
今回は「量」と「質」それぞれの重要性を分析し、どちらが足を速くするために効果的なのかを検討していきます。
1. 「量」を重視するメリットとデメリット
■ 量を増やすメリット
1. 走ること自体に慣れる
• 小学生や初心者の段階では、まずは「走る」という動作に慣れることが重要。
• 繰り返し練習することで、基本的な動きが身につく。
2. 持久力・筋持久力の向上
• 何度もダッシュを繰り返すことで、スプリントに必要な筋肉が強化される。
• 特にインターバル走を取り入れると、疲れた状態でもスピードを維持する能力が鍛えられる。
3. 技術の習得
• 繰り返し練習することで、スタートダッシュやストライドの改善が可能。
• 無意識に正しいフォームを身につけられる。
■ 量を増やすデメリット
1. ケガのリスクが高まる
• 疲労が蓄積すると、筋肉の柔軟性が低下し、肉離れや関節痛の原因に。
• 特に成長期の子どもは、無理な負荷をかけると故障しやすい。
2. 疲労によるパフォーマンス低下
• 走る量が増えすぎると、練習の後半にフォームが崩れやすくなる。
• 正しい動作ができない状態で走ると、悪い癖がつくことも。
3. 質の低下
• ただ走るだけでは、間違ったフォームを繰り返してしまい、効率の悪い走り方が定着する。
• 量を増やすことが目的になり、本来の目的(足を速くすること)が達成できなくなる可能性がある。
2. 「質」を重視するメリットとデメリット
■ 質を高めるメリット
1. 無駄のない効率的な動きが身につく
• 走る際の姿勢、地面を蹴る角度、腕の振りなどを意識的に改善できる。
• 量を減らしつつ、正しいフォームを定着させることが可能。
2. ケガのリスクが減る
• 無駄な動きを排除し、必要な筋肉だけを効率よく使うことで、体への負担が軽減。
• 質の高いトレーニングでは、回復時間を確保しながら成長できる。
3. 短期間で成果が出やすい
• ただ闇雲に走るのではなく、適切なトレーニングを行うことで、より短期間でスピードアップが可能。
• 例:スタートダッシュのみに特化したトレーニングを行えば、短期間で出足が改善される。
■ 質を重視するデメリット
1. 基礎体力が不足する可能性
• 短時間で効率的にトレーニングを行っても、走る絶対量が少なすぎるとスタミナがつかない。
• 特に小学生の段階では、ある程度の走り込みも必要。
2. 経験値の不足
• 「質を重視する=回数が少なくなる」ため、実戦経験が不足する可能性がある。
• レース本番での対応力を養うには、ある程度の実践的な練習も必要。
3. 短距離走において「量」と「質」どちらが大切か?
ここまでの分析をもとに、短距離走において「量」と「質」どちらを優先すべきかを考えます。
■ 初心者・小学生の場合:「量」をある程度確保する
• 走ることに慣れるために、一定の量をこなすことは必要。
• ただし、フォームの乱れやケガを防ぐために、基礎的な技術指導を並行して行う。
• 例:1回の練習で30mダッシュを10本、フォームを意識しながら走る。
■ 中級者・中学生以上:「質」を重視する
• ある程度の走力が身についている選手は、単純な走り込みではなく、より精度の高いトレーニングを行うべき。
• 例:スタートダッシュの改善にフォーカスし、反応速度を高める練習を重点的に行う。
■ 上級者・競技者レベル:「質」を極めつつ、適度な「量」も確保する
• 走る量を減らして技術向上を図ると同時に、実戦経験を積むために適度な走り込みも必要。
• 例:週2日は技術トレーニング、週3日は実戦的なスプリント練習を組み合わせる。
4. 「量」と「質」をバランスよく取り入れるトレーニング方法
1. ウォームアップ&ドリル(フォームを意識)
• 量を増やす前に、動きの質を向上させる。
• スキップやもも上げなどのドリルを丁寧に行う。
2. スプリント練習(量と質のバランス)
• 例:30m×5本(質重視)、50m×3本(実戦感覚)、100m×1本(スタミナ確認)
• 量をこなしすぎず、1本1本の質を高める。
3. 補強トレーニング(ケガ防止&スピード強化)
• スクワット、プライオメトリクス、体幹トレーニングを適度に組み込む。
5. まとめ
足を速くするためには、「量」と「質」のバランスが重要です。
• 初心者は量を確保しながら基礎を固める
• 中級者は質を高め、効率的なトレーニングにシフトする
• 上級者は実戦経験を積みながら、技術を磨く
ただ単に走るだけではなく、目的を持った練習を行うことで、最短で速く走れるようになります。
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